Makiko

宗方姉妹のMakikoのレビュー・感想・評価

宗方姉妹(1950年製作の映画)
3.3
小津の映画に高峰秀子が出た貴重な一作。割とデコさんのパブリックイメージを利用したキャラクター設定のようにも見え、カメレオン俳優としての力量がもっと見たい気もした。奔放な性格といえばそうだが見ている限りだとコミックリリーフ的な面が強すぎて、クライマックスのシリアスなはずの場面でも、ブチ切れ勢い余ってツルハシを持ち出そうとするので(ツルハシ!?)と笑ってしまった。

終盤に激しい感情をぶちまける女キャラクターというのは小津映画の定番だが、それが姉妹の妹の方というと『東京暮色』を思い出す。例によって母親の存在しない家庭で父親を介在して繰り広げられる話というのも。
ただ『東京暮色』が陰だとすると『宗方姉妹』の方は陽、しかもシスターフッドまでやってくれるのでむしろ『東京物語』終盤の紀子と京子の問答を思い出す。その原型となるようなメッセージがあったように思う。

あまりに綺麗に障害が取り除かれる展開には、お姉さん共々しっくり来ず、そのしっくり来なさが解明されないまま物語が終わるのを見ながら、何だかフランス映画みたいだなと思ったりしていた。

序盤の薬師寺の場面でのロングショットが終盤でも反復されるが、その中での人物の動き、人物が去った後のカメラの動く-動かないの違いで、作中人物の関係を示しているのは面白いなあと思った。

『ドン・キホーテ』からの引用が気になる。
あとこれで「むねかたきょうだい」って読ませるの意地悪すぎる。「むなかたしまい」じゃないのかよ。
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