イチロヲ

ラ・ヴァレのイチロヲのレビュー・感想・評価

ラ・ヴァレ(1972年製作の映画)
4.5
民芸品のバイヤーに従事している夫人が、オセアニア地方で知り合った冒険家チームと共に、ゴクラクチョウの羽根を探すための旅に出る。同監督「MORE」の姉妹編に位置付けられている、ヒューマン・ドラマ。ピンク・フロイドが音楽を手掛けている。

探検家のロードムービーと言うと聞こえが良いけれど、その実態はヒッピーの現実逃避劇。パリで上流生活を送っていた夫人が、ヒッピーの自由奔放な日常生活に感化されていく。あえてカッコいい言い方をすると、「精神の開放」を描いているドラマ。

若い探険家と不倫関係になったり、密林地帯に自生する幻覚剤でラリったり、乗っている車にサイケデリック・アートを描いたり、夫人がみるみるうちにヒッピー化していくところが面白い。彼らの「自分を変えたい!」という切なる願望が伝わってくる。

また本作では、ニューギニアの原住民との交流をドキュメンタリー調に収めることにより、「人間としての生き方の根源を問う」という提起を含ませている。自己実現と自己相対化が扇情的に描かれており、トライバル感覚を純粋に楽しむことができる。
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