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パーフェクトブルーのnのレビュー・感想・評価

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
4.0
約10年ぶりくらいに再見してみた。
当時はちょっと現実から離れた、ファンタジックな感じが入ってくる映画があんま好きじゃなかったのだが、いまはだいぶ趣味も変わってるのもあり。どんなもんやったかいの、と。

最近自分の中で、映画における「8:2の法則」を確立したのだが、まさにそれにあてはまる作品であった。その法則っつうのは、映画は8理解できて2理解できないくらがちょうどいい(人が見て"面白い"と思う)ということなのだが。

この映画が優れているところは、実はその(内容の)シンプルさにあるんじゃないかなと。
この夢と現実交錯しまくりの物語一見矛盾しているように聞こえるかもしれないが、そこが肝で。

つまり、1人の女性が、これまでとは違う、"もう1人の"自分に抵抗しつつ、受け入れ、成長していくという、明確なアークがあり、それをぶれさすことなく物語が進んでいくということである。
そして、この心的葛藤というのは、人間であれば少なからず人生で経験することだろう。

そしてその上で、いわゆる夢と現実の交錯という仕掛けを仕込んで面白くしていくという。
さらにはミステリー/スリラーとしてのわかりやすい犯人明かし、というネタも仕込まれている。

エッジィな印象を与えつつも、意味不明の物語にすることはなく、同時に見る人の多くが共感できてしまう。このことこそが、この映画が成し遂げているものである。いいかえれば、バランスが良いということでもある。
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