このレビューはネタバレを含みます
「資本家ばかりが得をして、農民はずっと苦しい生活をしているのに」と庶民の窮状を訴える声は出てくるが、豪華キャストの中に北一輝も西田税も出てこない不思議さは残ってしまう。よく言えば、思想がどうとか、皇道派がどうとか、その辺は気にせず楽しめるようになっている。
クーデターを起こしてから、天皇陛下に上奏してご裁断を仰ぐ辺りは、実に日本的で印象的。その後の期待と不安の中で待つものの、上層部からはその場だけの回答をされて、結局当事者のみが責任を取らされるのもまた、実に日本的かなと思った。
決起した青年将校の妻子や、殺害された人と一緒にいた女性らに、フォーカスするシーンが数箇所あったのは良かった。てめえの嬶も守れずに国が護れるか、なんて言いたくなるのは、平和な時代だから言えることでもあるのだろうか。