TriStar作品ということで観賞
若くて野心があるHeinrichにとって、家庭を築くという安定に収まりたくなかったし、自信がなかった…
だから仕事に託けて逃げてしまった
だけど、本当は命の危険がある登山を前に帰る場所があることやまだ見ぬ息子の存在は癒しだったはず
だけどそれを自覚できるほどまだ大人じゃなかった
未熟ゆえに周りの意見に逆らったり、自分が1番だと過信していたり、自分が悪いとどこかではわかってるのに素直に謝れなかったり
そんな彼がチベットで変わっていく所が良かった
常に心のどこかに埋められない何かがあって、孤独で、そのせいで苛立って…
挙句、人の幸せまでも素直に喜べずにやっかんでしまう
でも、物理的な何かではなく、自分の心の中に足りないものがあるんだと気が付いてからの彼の態度や表情はまるで別人で、人のことを思いやれるまでに
そこまで変われたのは、ダライ・ラマ14世との出会いなんだということがよくわかった
特にダライ・ラマ14世がHeinrichに教えを説いたわけでも、核心につくことを言ったわけでもない、ただ一緒に話して、過ごしただけ
年齢も国籍も全く違う人に大きな影響を受けて人生観が変わったり、不思議な心の絆が生まれる経験を自分もしたことがあるからこの2人の関係性に共感できた
ダライ・ラマ自身もHeinrichのような人がいたからこそ、世界にきちんと目を向けることができて、平和だけどある意味守られすぎているチベットの外の厳しい現実を知れたんじゃないかなと思った
これが実話だと思うと余計にグッとくる
そのせいなのか、ドビュッシーの「月の光」のオルゴールで涙が止まらなくなった