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セブン・イヤーズ・イン・チベットのkimaguremovieのレビュー・感想・評価

4.1
第二次世界大戦中、オーストリアの登山家がヒマラヤ高峰ナンガパルバットの登頂をナチスの命のもと目指したが失敗、インドで捕虜となった後、脱走逃亡の末チベットのラサに入り込みました。そこで人々の優しさに包まれて長期滞在し、幼き頃のダライラマと親交を深めた実話に基づくストーリーです。写真家でもあるハラーはブラピが好演。ハラーは、あの『アイガー北壁』を初登頂したメンバーのひとり。

ハラーは『自分も少し前まで、この狭量な中国人と同類だったことに気づかされる』。欧米も日本も言えたものではなく、ある断面だけを切り取るのはフェアじゃないかもしれませんが、チベットの慈悲深さとは対照的に、中国の最低最悪ぶりは印象的。『宗教は毒』と中国は弾圧を強め当時でも100万人を殺したと紹介しています。

『歴史は繰り返す。こんな楽園でも』。その後ダライラマはインドに亡命しました。映画が公開されてから20年、チベットを巡る情勢は厳しさを増していると言っていいでしょう。最低最悪の2乗です。

我儘で離婚届を突きつけられたハラーが、チベットにいるごとに慈悲深くなっていく様が素敵。環境が人を大きく変えます。もちろんダライラマの輝く目も素敵で、幼い頃から彼が極めて求心力があった事を印象づけていました。

景色もやっぱりいいです。バター茶とかも。ヒマラヤには中国側は行ったことないですが、どこからでも圧倒的です。

ストーリーとしては、ハラーが、戦後数年後オーストリアに帰国し、昔とは違う穏やかさを取り戻したような様子なのが救いでした。
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