千年女優

つぐないの千年女優のレビュー・感想・評価

つぐない(2007年製作の映画)
3.0
第二次世界大戦前夜の英国。裕福な官僚一家の末娘で小説家夢見て戯曲執筆にいそしむ13歳の少女ブライオニー・タリス。多感で想像力豊かな彼女が、自分の言葉が幼馴染で惹かれ合いながら身分差から一歩を踏み出せない実姉セシーリアと使用人の息子ロビー・ターナーの関係を切り裂き、終生を罪の意識に苛まれる様を描いた恋愛映画です。

初監督作『プライドと偏見』で一躍注目の若手監督となったジョー・ライトがタイム誌で2002年のベストに選ばれたイアン・マキューアンの『贖罪』を前作と同じスタッフで映画化した作品で、若くしてオスカーの常連ノミニーとなるシアーシャ・ローナンを見出して当年オスカーでは二作連続の監督賞を含む七部門ノミネートを果たしました。

ジョー・ライトお得意の文学作品を絵画的に作り込まれた映像で彩る作品ですが、ラブコメだった前作よりもさらにおセンチな物語が原作とあってスイーツに甘味料を振り掛けるようなくどさを感じる所があります。情緒のためにしか使われない戦争描写も精彩を欠いてはいますが、演技派揃うキャストのアンサンブルで退屈はしない一作です。
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