けーはち

つぐないのけーはちのレビュー・感想・評価

つぐない(2007年製作の映画)
3.5
姉と使用人の恋仲を裂くため男に冤罪を着せた少女。2人はさらに戦禍に巻き込まれ──オチまで見てそれは「つぐない」になるんかい、とツッコミ所は大きいが、それに留まらず、少女に情事の場面を見せたりエロいラブレターを届けさせる2人も品行は良くないし、そもそもの冤罪の元となる婦女暴行を犯した男は絶対悪だが、後に女を幸せにしてるからお咎めなし・結果OKかとか、悪や罪について考えさせられる。劇中1時間過ぎたあたりダンケルクの戦闘前5分間の1カットシーンがあり、エキストラを沢山使い熱の入った撮影であるが、本題でない所に頑張りすぎの気も……(戦争は波乱の舞台装置だが、なくても2人は引き裂かれた)。ダリオ・マリアネッリの音楽はタイプ音をフィーチャーして「作者」=メタ構造を匂わせた上で、悲劇を予期させる不穏な展開で本作に文芸作品の品格を添える。