リディアランチが攻殻機動隊のような素子のように街を見下ろすカットや、網に引っかかってつられるシーンは確かにおもろかったが全体的にインディーズ臭。ＶＨＳが汚すぎてそれっぽいシーンも何も見えず…むしろすいません…。左上にずっとワイプみたいに画面を表示させてるスプリットスクリーンや監視室のレーザーなどノワールなんだかブレードランナーなんだかわからない。

80's N.Y.アングラ映画。街並みなど一瞬も映らない抽象空間。死にかけた軍事会社社長とイキがってる秘書兼運転手兼ボディーガードのやり手の男。殺人事件の深層を探る女探偵。衛星破壊装置、顳顬に電気を流して脳を破壊する殺し。第一声「ファックしたいわけ？」というリディア・ランチのマネは誰にもできない。昔見た近未来感、ブラウン管の滲みと黒電話。地下の格子に垂れる転落者の血。漂う倦怠感が堪らない。

スコット・Bとベス・Bという監督コンビによる異色のフィルムノワール。海外のページしか情報がなかったが、ニューヨークのパンク映画シーンを象徴する作家のようだ。
BFWという新兵器を巡って対立する２つの大企業と、その真相を追う女探偵の姿を描く。

物語の核となるBFWという兵器について、防衛機能と攻撃機能といった基本的な説明はされるものの、「これがあれば宇宙を支配できる」みたいなフワッとした扱いのため全体的に緊張感がなく、テンポも悪いため物語的に面白いとは言い難い。
ただ、独特の映像センスは発揮されていて、長机と黒い背景に白い光という最低限の要素で重役会議を表現したり、ドアの向こう側を極度に白飛びさせるなど、抽象的な舞台設計がなかなか面白い。

それから、女とのセックスを優先した部下に対してボスが何度も電話を掛けるシーンは大好き。左上に小さくボスの様子もワイプみたいに表示されていることで同一画面上で思いっきり裏切られており、あまりにも哀れな様子に笑ってしまった。(全体のテイスト的に、ここもオシャレ演出として入れられていたのかもしれんが)

エンドロールを見ると、ナレーションの1人にジム・ジャームッシュがクレジットされていて驚き。流石に声までは知らないので全く気が付かなかったが。