監督の澤田幸弘は〝日活ニュー・アクション路線〟から映画界の衰退により、テレビ界へ活路を見いだす。
印象的なのは松田優作らの〝俺たちの勲章〟や〝探偵物語〟、地味だったが横浜を舞台に藤竜也と草刈正雄の探偵コンビの〝プロハンター〟は好きだった。
撮影場所が近所だったことも有り子供ながらに親近感も沸き、いつか大人になったら松田優作や藤竜也のように探偵をやってみたいと思いを馳せた。
この映画の若き原田芳雄も無口でクールな若手ヤクザ役を演じるが、映画の内容をどうこう言うより個性的な登場人物のクサいセリフと演技が病みつきになる。
素肌にデニムのジャケットを真面目に着るくらいワイルドな原田芳雄が観れる。
脇役に喜怒哀楽が激しい狂犬のような地井武男、無口でサングラスの中の瞳で語る藤竜也、男を影で支え言葉はなくとも真の強い女を演じる梶芽衣子など魅力いっぱいだが、佐藤蛾次郎の胡散臭い風貌と口調は良い意味でイライラする。
基本は社会権力への反抗と男の友情物語を描いているが、その友情を羨ましそうに眺める梶芽衣子のセリフにドキッとする。
〝男なんて別れた女のことなんてすぐ忘れるくせに、男と男の友情は永遠に忘れないのね〟
時代背景を感じる映画ではあるが、1つ言えることはいつの時代も若者は権力や社会に反骨精神をもっている…いや、もたなければならないだろう。
引かれたレールに乗り安全運転も悪くはないが、用意された安全パイな道を平々凡々と生きることが面白いのか?
選択肢が限られている?
イヤ、選択肢は自分で作るもので考え方によっては無限に選択肢は広がるだろう。
不満やモヤモヤした鬱憤があるのなら、たまには何かに対し反抗してもいいんじゃないか。
反抗に大した理由なんて必要ない…あるとすれば〝若さ〟だ..★,