主人公ギルバートは、バーガーショップの開店が一大行事になるほどの田舎で、家族の世話に縛られ将来に対する選択肢は一切無い。
そんな停滞した人生を送る彼が住む町に、トレーラーで旅をするベッキーという自由を携えた女性がやってくる。
まさにボーイミーツガールの王道的展開なのだが、ギルバートの壮絶な生い立ちと、ベッキーの心地良い繊細さがこの映画を一気に素晴らしいものに引き上げている。
ベッキーからの「あなたの望みは？」という質問に対し「良い人になりたい」と答えるギルバートだが、アーニーの奇行に根気よく付き合い、自らを頼るだけの母親を見離さず、やりたいこと全てを投げ出してまで家族のことを考えている時点で良い人なのは間違いない。
ただ彼にはそれが当たり前で特別な感覚は無い。
これは彼の性根の温かみを示すと同時に、知らぬ間に自己犠牲の道のみに進めさせられるヤングケアラー問題の闇の深さを考えさせられる印象深いシーンだった。
そんな彼だが、最終盤では大きな縛りが一つなくなることで自由を手にする。
その瞬間に見せる心からの笑みに多幸を願わざるをえない。
この年代のジョニーデップ美男子すぎるな。
コミカルな役柄のイメージが強いだけになおさら美しさが際立っている。
そしてディカプリオの演技力が幼い頃からずば抜けて凄まじかったことを知れる作品でもある。
是非ともいろんな人にお勧めしたくなる作品。
