このレビューはネタバレを含みます
改めて鑑賞。まじで何回も見ている、1番好きな作品です。全人類人生で1回は見て欲しい作品です。
どの登場人物達も、欠かせないのです。しかも、どの人物にも共感出来てしまうんです。ギルバートは、長男で可哀想に父親のような役割を担ってしまっている人です。鯨みたいなお母さんは、旦那さんが家の地下室で自殺してしまってから病んでいます。そんなお母さんはもはや、親という役割を放棄してしまっています。ギルバートは自分で家族という縛りに苦しめられています。手のかかる障がいのある弟のお世話もしなくてはいけません。家族を養うためにスーパーで働いています。常に父親の役割を担っています。そうしているうちに、ギルバートは感情があまり出なくなってしまったんだろうなぁ…と考察しました。そして流されるままに、おばさんと不倫もしてしまっているんだろうなぁと。
めちゃくちゃ対照的なのが、ある日偶然街にやってきたベッキー。本当にこの子がとても素晴らしい役割なんです。彼女は常に選択して生きています。離婚した両親を行き来してみたり、ビジュアルも男性に媚びずベリーショートヘアに。(若いという美しさは一時的でしかないと申しています)内面がめちゃくちゃ美しいんですよね。彼女との出会いで、ギルバートは初めて心が動いたんだと思います。だからこそ葛藤し、弟と喧嘩をして手を上げてしまったり、街の県境まで車を走らせてしまったり…。無感情だった彼が、ベッキーによって涙したり葛藤するシーンが、めちゃくちゃホロホロしました。
ベッキーが言う、大切なのは何をするか、というセリフ。めちゃくちゃ刺さりました。やらされているのと、やるのとでは全く意味が違うんです。ギルバートは今までは仕方なく、父親の役割を担っていました。やらされている側でした。でも最終的には、やっぱり家族を捨てて愛に生きることはできなかったんです。でも、これも家族を受け入れるという選択です。やる、という側になったのです。でもこの作品のめちゃくちゃ良いところは、家族達が前進した途端に壊れるところだとわたしは思います。ギルバートが選択し、お母さんが少し前向きになって2階に頑張って上がった途端、死んでしまうんです。ここ、めっちゃ現実を突きつけてくるなぁ…って思いました。綺麗事で終わらないんですよ。でもギルバート、燃やすんです、家ごと火葬しちゃう。父親が建てて、ヤドカリのように家に引っ付いている母親が死んでしまって、家ごと火葬してしまうなんて。きっとこれがギルバートなりの親離れなのかなぁと思いました。きっと大丈夫な気がする、そう思わせてくれるのは、ギルバートの葛藤を見てきたからかもしれません。
弟アーニーも勿論大切なキャラクターですし、ディカプリオの演技力凄まじいんですけど、やっぱりこの作品で重要なのはギルバートかなと思います。ですが、とにかく出てくる人たち全員に、何かしら共感できる部分があるかと思います。(流行りのバーガー屋で働く友達にも、保険会社に勤める冴えない夫にも、クソ生意気な妹にも…)そして見る度に新たな発見があって、毎回色々考えさせられます。本当好きな作品です。語り出したらほんともう文字数やばいのでやめときます(笑)見てね。
余談、大学生の頃、授業でこの作品を知りました。取り上げて下さった教授に感謝。わたしの人生の一本の映画になりました。この作品に出会えて良かったと心から思います。だから映画はやめられんのよ!