このレビューはネタバレを含みます
人生のベストマイ映画1位。
映画に必要なものがつまってる映画。
人の優しさ、信念を持つことの難しさ、大切さを教えてくれる。
三ヶ月に一回くらい見てる。
時代は第二次世界大戦終戦後、世論は共産党員への糾弾が吹き荒れていた。そんな中、ハリウッドで脚本家をしていた主人公はあろうことか共産党の大物として議会で名前が挙がってしまう。
そんな状況の中、主人公は事故で川に落ち、記憶喪失になってしまう。
流れ着いた海岸で老人に助けられ、とある田舎町に案内される。その町は戦争で多くの若者が帰らぬ人となり、未だ悲しみに包まれていた。
主人公は初めてその町を訪れた筈なのに多くの住人から以前会ったことが無かったかと問われる。そんな中、ある一人の老人が主人公を戦争で行方不明になった自分の息子だと涙を流した。
主人公は戦地で行方不明になった、町の人気者で戦争の英雄だったルークトリンブルと間違えられたまま物語は進んでいく。
とにかく主人公を演じるジムキャリーの演技が良いし、脇を固める俳優たちの演技が素晴らしい。
傷ついた町が再生していく工程も良かった。
主人公を息子と思っている父親の映画館を再開させる流れは見ていて幸せな気持ちになれるし。彼の映画に対する思いを語るシーンは映画好きにこそ見てほしい。何故映画館で映画を見るのかということの答えだと思う。
終盤は記憶が戻った主人公が共産党員を吊し上げるための議会とやりあったりする。議会のシーンはほんと泣ける。町の住民たちとの交流を丁寧に描いていたので、それに伴う主人公の心情の変化や成長をババンと見せてくれる。
主人公は、人気者でも英雄でも無い。ルークトリンブルが自由のために戦っていた時、基地の売店にいた。死にたくなかったし、怖かったから。
主人公はルークトリンブルのように信念持っていなかった。信念を持つ勇気がなかった。だけどルークトリンブルを知り、悲しみに包まれた町の人々を見てきた彼は、議会のお偉方に向けて
「お前らは意地悪だ! こんなアメリカの為にルークトリンブル達は命を落としたのでは無い!」
と熱弁する。
そして彼は民衆のヒーローになる。
平凡な男がヒーローになる。ありふれた内容だけど、それを完璧に描いていたと思う。
ラストも幸せいっぱいな気持ちになれて本当に良い映画。