ワルキューリ

ドライビング Miss デイジーのワルキューリのレビュー・感想・評価

ドライビング Miss デイジー(1989年製作の映画)
4.0
日本でツンデレブームが起きたのは確か2000年頃…しかしアメリカではその10年前最強ツンデレ老女が誕生していたッ!その名もミスデイジー!

ざっくりしたあらすじは1960年代の『最強のふたり』。
運転ミスで車を生垣に突っ込ませたデイジーを危惧した息子ブーリーは運転手としてホークを雇う。プライドが高く、何でも自分でできると信じているデイジーはホーク毛嫌いしていたが、次第に彼の術中にハマり打ち解けてゆく。しかしそんな二人の間にも溶け残ったしこりが…

日本でも老人が運転する車の暴走が問題になるけど、運転は年をとってできなくなることは他にもたくさんある一つでしかない。生きることは老いること、でも車と違って人はパーツを取り外したり掃除することはできない。

そんな寄り添う優しさとともに、単純に分かり合えない難しさもある。埋め込まれた地雷に引っかかるたびオウフ…
黒人差別で生じる問題がここぞというところで明かされる一方、デイジーのような白人でも時に差別を受ける側となる現実を冷酷に突きつける。
差別に対する普遍的な解決法、それは「相手を知ること」。自分の中にある差別に気づいていない一方、解決する方法も自然に知っていながら気づいていないデイジーがホークを知る中でそこに気づく展開は実に巧みで説教臭さがまったくない。

人の終着点は死ではなく、忘れられること、忘れてしまうこと。その前に必要なよく知ることの楽しさを教えてもらえました。