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特攻大作戦の都部のレビュー・感想・評価

特攻大作戦(1967年製作の映画)
4.8
語り継がれるべき大傑作。
『七人の侍』『荒野の七人』のような、ならず者達による決死隊の奇妙な連帯が齎す愉快さと遂に迎える特攻任務での乾いた死生観に基づく呆気ない戦死の数々を語る仕草は好ましく、この段階的な温度差ある二部構成が戦争が含有する切実な悲哀を引き立たせている。150分という長尺を贅沢に使うことで、観客もまたどこかその振る舞いや繋がりに愛着を覚えてしまう部隊像の構築も大変いじらしい。果たして誰が生き残るのか!!!

絞首刑の導入から既に胸踊るのだが、集められた12人の罪人達との遭遇が織り成す『これから始まるぞ!』感漂うタイトルバックを前にすると思わず口角を上げずにはいられなくて、荒くれな仕草を通して部隊の人間達を知っていく展開も面白い。人種や立場を超えたなし崩し的な一蓮托生なる関係性の構築は物語を斜め上へ上へと盛り上げていき、軍事訓練下でその連帯が見事に発揮されるシーンの楽しさに勝るものはない。軍に帰属意識を持たない荒くれ者だから出来るダーティな戦法で場を蹂躙していくのが、独自性として発揮されているシークエンス(将軍の振りする所とかも好きだな)

人間味を熟成させた後に始動する"特攻大作戦"──それまでの作中の空気感とは一変して、一瞬のカットで人員が次々に戦死していく姿はたとえば長い時間を投じて構築した砂の城を蹴り壊すような負のカタルシスがあって哀しさを感じながらも作品としての緊張感漂う面白さに余念がない。『誰にも死んで欲しくない』という観客の気持ちが叶うわけもなく、喪失感を感じさせる暇なく進行していく作戦の行く末にもドキドキさせられるし最高だ。構成に偏りがあるが、作品の性質上 これが最適のようにも思える。悪人達を召喚して戦死上等の任務に挑ませる──そこに生じる一瞬の人間味や感傷が好ましいので、非常に絶品の一作だった。
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