このレビューはネタバレを含みます
重犯罪者で構成された部隊の話。
「犯罪者達が減刑と引き換えに、特攻作戦に参加する」という設定が『スーサイド・スクワッド』にソックリ!と思っていたら、スースクは本作の影響を受けて作られたそうですね。
スースクと違って、本作の犯罪者は普通の人間という事で、軍人になるべく訓練が描かれます。
部隊の指揮を執るライズマン少佐がなかなか有能な男で、犯罪者1人1人を説得していくのも良かったし、憎まれ役を買う事で部隊をまとめていくのも見事。
まぁ、娼婦まであてがうのは如何なものかと思いますが、鞭だけでなく、飴も与える事も上官には必要なのでしょう。
映画の前半は、そんな犯罪者達の訓練がややコミカルに描かれるわけですが、後半は一転してシリアスな実戦が描かれる事に。
変態ミソジニストこと、マゴットの暴走により、作戦は混沌としていくわけですが、主要キャラが次々と死んでいくので緊張感があったし、作戦を即興で進行させていく展開もスリリング。
「ラストの爆発が残酷過ぎる」という感想も見掛けましたが、逆に私は残酷過ぎて笑えてきたし、ホロコーストの意趣返しだと思えば、そんなに心を痛める必要はないんじゃないかな。
ただ、だからと言って、本作は勧善懲悪な話にはなっておらず、彼らが善人に更正するわけでも、英雄として生還するわけでもありません。
マゴットは最初から最後までクズのままだし、愛されキャラのビンクリーは敵に容赦なく殺されてしまう。
悪人が変わる事はないし、戦争はいつだってクソだという事。
ハリウッド的なカタルシスを否定する、この乾いた視点、苦味のある結末が、個人的にはグッと来るものがありました。
主演のリー・マーヴィンを始め、キャスティングも豪華で、こんな若くて痩せてるチャールズ・ブロンソンを見たのは初めてな気がしますし、お茶目な役を演じるドナルド・サザーランドの可愛らしさも印象的。
つい先日、死去されたとの事で、このタイミングで彼の演技を見れて良かったです。
2時間半もの長尺が玉に瑕ではありますが、それでも見る価値のある作品だと思いますし、スースクを始めとした様々な映画に影響を与えた作品として、映画好きならチェックして損のない作品でしょう。