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チャイニーズ・ゴースト・ストーリーのmatchypotterのレビュー・感想・評価

3.7
さぁ、次のシリーズ。
3部作×4シリーズ、グルグルローテーション。
Part.Ⅴ。1周目③。

個人的に昔から好きなシリーズ『チャイニーズゴーストストーリー』。

中国香港のスピリチュアルゴーストと言えばキョンシー。キョンシーと言えば、『霊幻道士』シリーズの方が好きだけど、これはこれで人と人であった者との関係性が良い。

とはいえ、この作品はキョンシーと言うより、幽霊と、ゾンビ的なヤツ、というか、モンスター、、、的、な。
そういう意味で言うと、日本のホラーよりも、アメリカの『ハムナプトラ』っぽいところもある。
ドタバタコメディバトルみたいなところも含め。

陰陽道や仏教、儒教、道教的な術式的な戦いもあるが、災いを招くとされる人ではない者にも悲しい過去や、今に続く死の呪縛もあるという背景も描く。

主人公のナヨナヨした書生、レスリーチャン。シンプルにイケメン。若い時の堂本剛や、中島健人みたいなシャープさと“抜け感”があってとても役にハマってる。

そして、ワケアリの囚われの身の美女の幽霊、ジョイウォン、めちゃくちゃ綺麗。まさに妖艶。ミステリアスな色気の放出量が普通じゃない。本当に切なく、儚い幽霊のよう。

キョンシーと道士の戦いと言うより、真摯な人と人ならざる者がその呪縛に苦しみながら抗う健気な物語。

相変わらず、この手の作品にあるすっとぼけた間抜けでコミカルな要素もあり、道士の独特な効果の術式攻撃あり、謎の霊的な呪縛や世界がある。

と言うか、このシリーズはその先駆者、金字塔、か。息つく間もない畳み掛ける展開。
レスリーチャンも、観てるこっちも何でか信じ始めて何とかしたいと思い始める。

物々しい雰囲気と、“ヤツら”の造形と動きが、この時代の映画だからこその描写でとても好き。

「時に人間は幽霊より残酷よ。その地に縛られ、転生することもできない。だけど、良い幽霊だっているのよ」

ジョイウォンの呪縛を解き転生させてあげるために奔走するレスリーチャン。
このジョイウォンの優しさというか板挟みの葛藤というか、縛られてるが故に何もできないもどかしさ。

頼りないレスリーチャンが勇気を出して、ジョイウォンのために現世どころか冥界の入り口付近にまで妖怪の親玉みたいな“千年妖怪”と対峙する。

このクライマックスは圧巻。
なんだかんだ道士も見せ場があってめちゃくちゃカッコいい。

ふざけてるようで至って真面目な妖怪退治の物語。
そして、思いのほか純情胸キュンのラブストーリーだったりする。素敵なシリーズ。


F:1980
M:2079
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