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フランケンシュタインのarchのレビュー・感想・評価

フランケンシュタイン(1931年製作の映画)
4.7
古典中の古典。これまで心霊現象や宗教的な怪物(クリーチャー)が描かれていた中で科学が密接に結びつき、これ以降のホラージャンルに"人の狂気"を持ち込んだのが『フランケンシュタイン』という作品です。(小説版も含めて)

本作はフランケンシュタインの怪物の誕生の物語でありますが怪物を恐ろしいものとして描いているより悲惨で可哀想な生き物として描いていたと思います。その代わりに怪物を取り巻く人間達の狂気を明確にホラー的に描いています。
人はクリーチャーに自らに内在する恐怖を映し出して見せることで、実際向き合い立ち向かえるようにしてきました。それがクリーチャーが愛される本質であり、映画での存在意義です。
本作のフランケンシュタインは科学の持つ可能性への恐怖の権化です。それは禁忌にたち入れてしまうのではないかという無知故の恐れも内包しています。

パットン・オズワルドの「人間は、科学で“何ができるか”って考えてばかりだ。“何をすべきか”じゃなくてね!」という言葉が心を過ぎるクリーチャーホラーの本質的な命題がここにあります。
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