カリオット

カティンの森のカリオットのレビュー・感想・評価

カティンの森(2007年製作の映画)
4.2
消えた将校たち。

どんな物事も白黒はっきりつけられないと思う。白のフリをする連合国もグレーだ(例ドレスデン爆撃)。しかし、これは……あまりにも闇が深く、底が見えない。限りなく黒、真っ黒。人間性の底はこれほどまでも踏み抜けてしまうものなのか(国家も、あくまで人の集まりなのでね)。

この事件に関すること全てが胸糞(言葉が悪いけどもうこれしか出てこない)。知れば知るほど気分が悪くなる。あなたもきっとソ連(というかロシア)が嫌いになる☆

活字で読むのと映像で見るのは全く違う。被害者らは後ろ手に縛られて後頭部を撃たれて〜を実際に見ると、ショックの度合いが違う。脳裏から離れない。本当にあいつらは人間か?

長らく行方不明となっていた犠牲者の写真(将校ら軍人だけでなく知識階級も)を見ていると何かを訴えかけているみたいに見える。その写真を手に彼らを待ち続けた人々がいたのだろう。ワンショットごとに監督自身の並々ならぬ想いを感じた。たとえ時間がかかっても、真実は隠蔽し続けることはできず、必ず勝つこと。ラスト10分、あの恐ろしい森の中で微かな希望を見た。
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