カティンの森の作品情報・感想・評価・動画配信

『カティンの森』に投稿された感想・評価

ウクライナの西のお隣にあるポーランドは1939年にドイツとソ連から侵攻され全土が両国の支配下に置かれた。
翌年ポーランド人捕虜約22.000人を現ロシアのスモレンスク近郊にあるカティンの森でソ連兵が虐殺した。
その後ソ連に進駐したドイツ軍が1941年にポーランド将校達の死体を同地で見つけ発表したが、ソ連はそれはドイツ軍がやったモノだと主張し面の皮の厚さを見せた。

ポーランド軍の大尉だったアンジェイ・ワイダ監督の父上がこれに巻き込まれて亡くなっている。

ソ連のこの蛮行に対してワイダ監督が鉄槌を下す。

地面に掘った穴に横たわる死体の山にブルドーザーで土を被せる様子を赤裸々にフィルムにし、思わず目を背けたくなる程の生々しい虐殺行為をスクリーンに叩きつけて「お前らはこういうことをしたんだ!」と言う。

おそらく監督は怒りに目に涙を滲ませてカメラを覗いていたに違いないと思う。
黒いバックに白い文字が下から上にゆっくり流れて行く、長く無音のエンドロールを観ながらそう思う。
“手帳”

第二次世界大戦中、ソ連軍によるポーランド人捕虜の大虐殺事件。

巨匠アンジェイ・ワイダ監督の、史実に基づく反戦映画。

連行された将校達の無事を祈る家族、しかしその願いも無惨に打ち砕かれる。

戦争犯罪のなすりつけ。

思わず目を覆いたくなるラスト10分の衝撃。

かの国の、昔も今も変わらない体質に憤りを感じる。

オープニング、そして無音のエンドロール前に流れる「ポーランド・レクイエム」が心に重く響き渡る。
円盤視聴。

基本は読んでから見る派なのだがこれは見てから読もうと、あえて情報量ゼロで臨んでみた。

…これは、どういう方向に話が転がって行くのか?とずっと分からなかった。最後に分かった。はう。

戦争とはこういう事で、国を明け渡すとかこういう事で、そりゃソ連はこうだろうしドイツはこうだろうし、結局人間とは、生きるとは、生き残るとは、という話になってしまう。

ツラい。

人間が生きる、それだけで罪なのかも知れない、と思ってしまうような。

あぁポーランド(涙)。

だからこそ、ポーランドの監督さんがこういう映画撮った事に価値があるんだと思う。ありがとうである。

語って語って語って語り継いで行かなきゃ。という事だよなぁっ。

そして、最後のあれやこれや見て、「ナチスがガス室作ったの、分かる」と思ってしまった、それもまた人間。越えてはいけない線を軽々と越えて行く。

越えてないのはただ運がいいだけで、皆薄氷の上にいるのだという自覚は常に持っていたいよ…
歴史上のポーランド将校虐殺事件、「カティンの森」を題材にした作品です。

フィクションではなく、歴史上の事実なので、痛快な逆転劇、ハッピーエンドはありません。
ポーランド将校の死までのいきさつと、その家族が見舞われる悲しい出来事が、群像劇として語られます。

しかしアンジェイ・ワイダ監督が描きたかったのは、ただ将校が1万人以上殺された、という事実だけではなさそうです。
まず反省。ポーランド侵攻という出来事は、「ドイツが」ポーランドに攻め込んだものだと思っていました(ほんとうに学が浅い)
この映画から、同時期にソ連も同時にポーランドへ宣戦布告をしていたのだと知り、その絶望感が否が応でも増しました。

西から逃げてくる人はドイツに追われて
東から逃げてくる人はソ連がすぐそこに迫っている

事実上、国を奪われ続けていたポーランドの苦難が冒頭10分で伝わってきます。
日本だったら、アメリカ、中国から同時に宣戦布告されるようなものでしょうか?絶望感は想像もつきません。

また、情報の捏造という点も、観ているうちに苦虫を噛み潰すような思いになります。
結局、ポーランド将校に手を下したのは誰なのか?
戦中のドイツは、ソ連の仕業だといい、戦後のソ連はドイツの仕業だとプロパガンダ映画を流す。
大国のパワーゲームの中で、事実が歪められていきます。

特に隠蔽はソ連のお家芸。ジョージ・オーウェルのSF小説「1984」では国家の情報操作をテーマにしていますが、まさにソ連そのもの。この映画でも共産主義の改ざん歴史を目の当たりします。

ポーランドは国家間の争いの中で血を流すだけではなく、正しい歴史すら消されそうになるところでした。
監督自身も、自身の父をこの事件で亡くされているそうです。父の死を風化させまい。その強い意志が晩年の創作活動の活力になったのでしょうか。
ウフ

ウフの感想・評価

3.8
「バビ・ヤール」を鑑賞した時も感じたのですが、大量の殺人を1度に行うと、行った側がいつしか機械的に動き無感覚になる事が本当に怖い。
ソ連軍の虐殺に巻き込まれた父親。
彼の手帳が家族の手に戻るまでの物語。

小さな奇跡のような出来事ではあるが、もたらされるのは、悲しみだけ。

手帳があっても、なんの声も上げられない戦後が続く。

適応する者。
声を上げ、殺される者。
声を殺し、生き続ける者。

適応した事を恥じ自死した者によって、手帳が家族へもたらされるのは、
ある意味、共産圏ファンタジーであるのかもしれない。

1943年にソ連国内の森で数千人のポーランド将校の遺体が発見された「カティンの森事件」を、実際に残された手記や手紙をもとに描く。

1939年、西からドイツ軍に追われる人々とソ連軍に東から追われた人々が、ポーランド東部にあるブク川の橋の上で偶然出くわす。西側からはソ連の捕虜となった夫・アンジェイ大尉を探すアンナと娘のニカ、東側からは大将夫人ルジャがおり、彼らはそれぞれの目的地へ向かうため川を渡る。

 第二次大戦下、ナチス・ドイツとソ連の両方から侵略され、両国に分割占領されたポーランド。そんな中、ソ連の捕虜となったポーランド人将校のうち1万数千名の行方が不明となり、後にソ連によって虐殺されていたことが判明する。いわゆる“カティンの森事件”と呼ばれるこの悲劇は、ソ連の支配下にあった冷戦時代のポーランドにおいて語ることの許されないタブーとされてきた。
K

Kの感想・評価

2.0
第二次世界大戦のナチス以外を描くことは、非常に重要だと思う。戦争を何かに押し付けないために。

そういう意味では評価されるべきだけど、映画としては単調で面白みに欠けた。ラストは良かったけれど。
SpiralCat

SpiralCatの感想・評価

4.5
ヴァイダ監督はどんな思いで脚本を書きメガホンをとったのだろうか。上級士官だった自身の父親もカティンで殺されたという。

事件をネットで見ていたらポーランドの大統領が、カティン事件を国際司法裁判所に提訴する意向という記事があった。今年4月だ。まだ終わっていないんだね。

独ソの双方に両側から攻め込まれ命と尊厳を踏み躙られたポーランド。ソ連に寝返る人もいればドイツに解放されたと思うものもいる。でもそのドイツはナチスドイツ。
ポーランド人も多数、収容所に送られ虐殺されている。

「ここはポーランド、私はポーランド人!」と主張してソ連のプロパガンダに乗ることを拒否した兄を殺された女性の言葉が、ヴァイダ監督の主張だったのではないか。

ソ連の残虐性は現在進行形で見ている。ロシア人特有のものなのかといわれれば違うだろう。日本人だって他国の人を虐殺した。戦争が人を鬼畜にするんだね。
すごく恐ろしいことだと思う。
ni

niの感想・評価

4.0
これを撮ったアンジェイ・ワイダ、当時80歳だったと知って、びっくり。

ソ連軍が、ポーランド人を大量虐殺した事件としか「カティンの森事件」については知らなかったから、この事件がナチスによるものだと主張されていたこと、しかもポーランド政府までもがそう主張していたことに驚いた。
当時の実際の映像(?)は目を覆いたくなる悲惨さ。

いい意味で、淡々と事件を描いているのが良かった。

描いている内容は違うけど「アイダよ、何処へ」を思い出した。
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