♪ 永遠なのか 本当か 時の流れは続くのか
いつまで経っても変わらない
そんな物あるだろうか
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
と『平家物語』にあるように、いつまでも存在するものなどありません。「いつか食べに行こう」と思っていたレストランが気付けば潰れていた…そんなのは“悲しいけどよくある話”なのです。
それは流行り廃りも同じこと。
本作のモチーフとなっている“西部劇”も隆盛を極めたジャンルですが、今や風前の灯火。遠き日の花火のように胸の奥を焦がすだけでした。
本作はそんな西部劇にしがみ付く男の物語。
彼は「イーストウッドは親友だ」と公言するほどに活躍したスタントマン。今では映画業界を引退し、閉鎖間近のウエスタン村で働いている…そんな境遇なのです。笑うにも笑えない…痛い雰囲気が支配していました。
ただ、一応、ジャンルとしてはコメディ。
某映画(ユーゴスラビア産)を彷彿させる“狂騒的な場面”もあります…とは言っても熱量は控えめでしたけどね。刺激的な部分を削いでいるので胃に優しいのです。
しかも、物語の縦軸で“親子三代の想い”を絡めている次第。だから“自分がこれから往く場所”のように思えて、余計にしみじみとしました。
なので、鬼才アレックス・デ・ラ・イグレシア監督の“コテコテの変態性”を期待すると裏切られること必至です(教育上よろしくない場面はありますけどね。というか、ある意味で理想的な性教育なのかも)。
まあ、そんなわけで。
哀しみの海に落とされた笑いの一滴。
後半の展開が予想の範囲内だったのは残念ですが、基本に忠実な筆致は良かったと思います。もしかしたら、西部劇の知識があればもっと楽しめたのかも。
最後に余談として。
日本にもウエスタン村ってありましたよね。
残念なことに2006年で廃業したようですが…自分が訪れた観光施設が無くなるのは寂しい話。目の前にあるものを全力で楽しめば悔いなし…それが正しい姿だとは分かっていても…視線は落ちるのです。