Keigo

ブギーナイツのKeigoのレビュー・感想・評価

ブギーナイツ(1997年製作の映画)
3.9
ここらでちょっと新しい刺激を入れたいぞなもしということで、名前はよく聞くのにまだ一作も観ていなくてやきもきしていたポール・トーマス・アンダーソンを。

PTA(Paul Thomas Anderson)の最初の1本に選んだのは、PTA(Parent-Teacher Association)も面食らってしまいそうな内容の『ブギーナイツ』!


なるほどな〜!
こういう感じなんだなPTA!今作に彼の作家性がどの程度現れているのかまだ今の時点では分からないので、こういう感じなんだなと見繕うのはまだ早いかもだけど。

少なくとも今作に関しては、あーーーおもしろかった!という割とサッパリした鑑賞後感。155分あるけど退屈はしないし、そこまで長さも感じなくて総じて満足度が高い。

冒頭当時の名曲をバックにカメラがなめらかに動き回って次々と登場人物を映し出す長回しのシークエンスは圧巻!つかみは最高!

登場人物の多い群像劇だけど、どの俳優も個性が立ってて誰が誰だか混乱することもほとんどないしそれぞれがいい味出してて、その辺はキャスティングから脚本、演出まで含めて素晴らしかった。過激な題材だけどそこまで下品な印象になってない辺りもPTAの手腕なんだろうと思うし、70年代後半〜80年代前半辺りのあの時代がドンピシャだという人にはグッとくる音楽やファッションも多くて、PTAはあの時代のカルチャーや空気感も上手く捉えてるんだろうなと思った。その時代を生きてない自分でもノスタルジー感じるぐらいだったから。

という具合に全体的に十分楽しめたし良かったんだけど、ちょっと気になったのは以下二点。

・エディの両親
序盤、エディの家庭でのシーンの父親の不甲斐なさとか、エディが母親と揉めるシーンとかすごい良かったのに、そっから両親が全く出てこなかったのが気になった。(どっかでチラッと出てきてたんかな?見落とした?)あんな感じの親なら例えエディが家を飛び出したとしてもそれなりに関与してきそうなもんだし、一時はあれだけ有名になったんだから全く音沙汰ないというのもどうなんだろうと少し気になってしまった。

・移動を続けるカメラ
冒頭の長回しのシークエンスはインパクトがあって最高に良かった。ただそこからも結構カメラが動き回るシーンが多くて、プールパーティーのシーンではワンカットで様々な人物を追いかけたあとそのまま水中まで付いていったりと驚くようなカットもあったけど、それはそれで逆にカメラの存在が強調されてしまうようでそこに意識が持っていかれてしまうような感覚があった。もちろん映画だからどこかにカメラはあるんだけど、そこにカメラがあることを過剰に意識してしまうというか。


…とまぁ多少気になるところもあったものの、初PTAはめちゃくちゃ面白かったし好印象!他の作品ももちろん観る!
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