オープニングから素晴らしい。
70年代ディスコ、大きな声で言葉を交わす人々、皆イキイキとした顔で体を揺らす、僕のタイプの時代背景だ。
70年代ポルノ業界に現れた若手俳優。
彼は希望に満ちていて、ポルノ俳優として成功を収める。
だがそれは長く続かず、彼と彼の仲間たちは時代の流れの中で取り残され、転落した人生を歩んでいく。
しかし彼らは大人になり踏み外した地点へ戻り、再びスターとしての道に一歩踏み出していく。
ポルノ映画を材料として人生の波を描くのは特徴的で趣がある。
そしてこの映画は時代の流れというものを大きなテーマとしていた。
時代によって変わる価値観を表すにはポルノは最適な題材だったのかもしれない。
70年代でウケたポルノ映画も、80年代になるにつれ、批判されるようになった。
今作ではそのいい加減な"時代"によって振り回された青年の人生を深いメッセージとともに映している。
主人公の他に、登場人物も一人一人のクセが強く見ていて飽きない。
それぞれ独特な個性があって、画面が賑やかだった。
その中に成功する者もいれば時間が経つにつれ衰えていく者もいる。
ポルノ映画は時代の中で非常にきわどいバランスを保っていた。
主人公の中ではそのバランスが崩れてしまった。
時代に適応していく能力が無かったのだ。
だか彼はどんなに転落してもそのままの自分を保ち続けた。
そして一人では生きていないことに気づいた。
再び彼は仲間と協力していくことになった。
あのあと彼はまたスターになったのかはわからない。
だが人として大きな成長を遂げたと思う。
この作品では、"時代の流れは早く、ときには残酷で自分のやってるいることが批判されるかもしれない。批判されてもつまづいてもそれでも自分が正しいと信じて、そして自分を正しいと信じてくれる仲間と共に、人生を歩んでいこう"というメッセージが感じられる。