ゆみモン

海潮音のゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

海潮音(1980年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

1980年のATG作品。ATGらしい感じもするが、70年代の作品とは少し違う気もした。

能登の旧家が舞台。幼い頃に母を亡くした、15歳の伊代。地元の名士(役人?)である父は、ある日海岸で倒れていた記憶喪失の女を救い、自宅に住まわせる。
周囲の人々の忠告(そろそろ警察や病院に引き渡しては…)を無視して、父は女を側に置き続け、関係を持ってしまう。

女が居ることで、父や叔父(亡き母の妹)、祖母、家政婦…はもちろん、多感な年頃の伊代の心は一番揺れる。

伊予が絡み合う父と女に、父の猟銃を向けたことで、全ての均衡は崩れ女は出てゆく。

文章にすればそれだけのストーリーなのだが、能登の暗い海がなんとも言えない雰囲気を醸し出している。
15歳の荻野目慶子が、後に“魔性の女”と言われるようになるとは思えないあどけなさだ。が、その繊細な演技力は見事だ。
同じく10代の頃の、原田美枝子や池上季実子に感じが似ていると思った。

運転手の妻で家政婦の女が、いつも何か腹に抱えているような何か言いたげな表情で、不気味だった。