貝

泳ぐひとの貝のレビュー・感想・評価

泳ぐひと(1968年製作の映画)
2.5
マンハッタンの高級住宅街に住むギラついたおじさん(バート・ランカスター)がなぜか急に「ここから家まで人んちのプール泳いで帰るわ」とか言い出す。冒頭何言っちゃってんのか全然引き込まれないけど、だんだんこのおじさんの様子がおかしいことがわかってくる。

この年でこの引き締まったボディを周囲に見せつけたくて堪らないおじさん。学生の若い女の子に手を出しかける身の程を知らないおじさん。嫁と子どものことを聞かれるとはぐらかすおじさん。パンイチ無一文の癖にすぐ小切手を切りたいおじさん。自分の家に近づくにつれて、どんどん哀れに見えてくるから不思議。ギラギラと眩しかったはずの映像も気づけば中盤からどんよりしてる。

自尊心もプライドも高すぎて現実逃避、誰かに頼ることもできない、最後はひとりぼっちで泣くだけ。お金持ってなきゃまるで価値がない。なんてなんて哀れなおじさん。だんだん悪あがきが気持ち悪く見えてきて、ちょっとおじさんのこと蔑んだ。絶妙に可哀相とまでは思えなくて終始スンとしてた。
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