このレビューはネタバレを含みます
希和子は許されない罪を二つも犯した。
1つ目は不倫。
そして2つ目は生まれたばかりの赤ん坊を誘拐。
私が恵理菜の母親だったら殺してしまいたくなるほど憎むだろう。
実の子のように愛してくれていたとしても憎い。
可愛がっていてくれたのね、ありがとうなんて絶対に思えないだろう。
夫をこそこそと盗み、愛しい我が子を盗まれたのだから。
だけど知らぬ間に感情は希和子に共感してしまう。
彼女が二つの許しがたい罪を犯して逃げていることをうっかり忘れるほど。
まるで警察や実の両親が悪者かのように彼女が逃げ切れるように応援してしまう。
逮捕されるときにも自分よりも恵里菜を心配し、「その子はまだ朝ご飯を食べていないの!」と叫ぶシーンで思わず涙が。
同情的に見るなら罪を軽くしてやってほしいところだけど、やったことは凶悪犯。
一方では我が子よりも自分や男の方が大事で虐待してしまう親たちが増えている現実と比較してしまった。
こんなクズみたいな親よりもよほど希和子の方が罪は軽いのではないだろうかと。