悪いことをしているはずなのに、なぜかこの"ママ" に同情し、誘拐した犯人とその "娘" の幸せがこのままずっと壊れないで欲しいと強く願ってしまう。
"ママ" の強い愛情に涙が止まらなくなった。
おそらくこの作品は女性からの支持は得るものの、なかなか男性には受け入れられ辛い部分があると思う。
子供を産んで育てること。母になること。その重みがどれだけのものなのか、経験したことのある人間にしかわからないことである。
母になりたくてもなれない人はたくさんいる中で、この誘拐犯がとってしまった行動は許されない行為であり、生みの母にとっては過ぎた時間が帰ってこない苦しみが永遠となってしまった。
生みの親と育ての親、どちらの苦しみも理解できるのでとても辛くなるのがこの作品のみどころであるけど、
何より、何も悪くない "娘" の気持ちは誰が考えていたのであろうか?
育ての親の元に返される。これは当然のことだけれど、たった4歳の子に何がわかったのだろうか。
その子が育ってきた過程を想像しただけで苦しい気持ちになった。
ラストでは、ずっと自分は何者なのか、なぜこの人生なのかもよくわからずに大人になってしまった娘が、自分の意思で答えを出すシーンにグッとくる。