針

八日目の蝉の針のネタバレレビュー・内容・結末

八日目の蝉(2011年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

小豆島の写真館で希和子が薫に手を握らせて「私の全部を薫にあげる、もう何も要らない」って泣きながら言うシーンが一番好き。大人になった薫が妻子持ち男性との子を授かり、最初は「まともに親に愛されて育った経験が無いから子供の愛し方なんて分からない」と言ってたけど、自分が育った地を訪れて写真館で育ての母親の顔を見て必死に忘れようとしていた幼少期を思い出す。誘拐犯の母親は恨むべきだと言い聞かせてきたけど、本当は恨みたくなんかなくて、薫の中では愛情を十分に注いでくれた母親の記憶しかなかった。希和子が薫にしたように、薫が「子供には可愛い服を着せて何でも食べさせてくれる綺麗な景色を見せてあげる」と言って映画は終わる。薫はちゃんと子供を愛す母親を知っていた、子供の愛し方を分かっていた。希和子が残した母親の愛情を薫はちゃんと受け取って自分の子供に渡すことが出来るんだろうな、と感情がぐちゃぐちゃになって久しぶりに泣いた。終わり。

薫(恵理菜)の父親(諸悪の根源)や、薫の不倫相手に触れるのは野暮だと思うのでスルー。
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