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エルム街の悪夢3/惨劇の館の消費者のレビュー・感想・評価

3.7
・ジャンル
スラッシャー/ホラー/ダークファンタジー/ジュヴナイル

・あらすじ
夢に巣食う殺人鬼フレディの脅威を逃れ6年の歳月が経ち、大学院生となったナンシー
彼女は自身の経験から続けてきた悪夢の研究が認められ、とある精神病院で働き始める事に
患者の若者達は皆が自殺未遂を経験し共通の悪夢に苦しめられているのだという
そこで彼女は1人の患者と出会う
少女の名はクリステン、手首を切り収容されたばかりの新顔である
間も無くナンシーはクリステンの悪夢とかつての惨劇の繋がり、そして他者を自分の夢に引き入れる能力を知る
やがて患者達の夢を蝕む存在はフレディだと分かると共に患者達からは犠牲者が生まれていく
それを受けて彼女は医師のニールと共に催眠療法を介して彼らを救おうと試みるのだが…

・感想
悪夢の殺人鬼フレディ・クルーガーを描く「エルム街の悪夢」シリーズ3作目
今作では精神病院の新人研究員として1作目の主人公ナンシーが復帰
加えてフレディ出生の秘密にも触れられている

閉鎖病棟という舞台、ダークファンタジー性の強い世界観、少女を主人公としたストーリーなど奇しくも本作の翌年に公開された「ヘルレイザー2」と共通する部分が多かった
また特撮要素のスケールが拡大されていてクレイアニメが導入されるなど面白い演出の多さという面でも似ている
ただ「ヘルレイザー2」と異なるのがそれが作品の面白さに直結していないという事は気になった
最初の犠牲者である夢遊病の患者フィリップが人形作りの趣味に合わせて血管を利用して操り人形にされ殺されるという描写までは良かった
しかし以降の殺人や夢の中で芽生える超人的能力などは悪い意味で子供じみていた印象が強くノり切れず…
決してつまらなくはないんだけどね…

ただ患者達の症状をセックスやエンタメのせいにする医師エリザベスの存在や謎のシスター、メアリー・ヘレナによるニールへの科学信仰の否定などは前作までの様な上手い比喩になっていたと思う
前者は表現規制へのカウンター、後者は精神疾患による妄想や内面的な苦悩も本人が生々しく味わっている以上は現実であるという指摘
それらのメッセージ性を落伍者の烙印を押された若者達の夢や再起を介して普遍的な物へと落とし込んでいた点は秀逸
またゴア描写もスケールアップと共に若干ではあるけど強化されていて、それもまた前述の表現規制へのカウンターの一部として良かった

次作以降がどんな感じなのか
期待半分不安半分だけど今の所、フレディのキャラクターとしての魅力がまだ十分に発揮されておらず悪夢のシンボル以上の役割が果たせていない点
そしてスラッシャー映画でありながらキル数が割と少ない点
これらの惜しい部分が解消されていないのでそこが改善されてると良いなぁと個人的には思う
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