パングロス

姿なき目撃者のパングロスのレビュー・感想・評価

姿なき目撃者(1955年製作の映画)
4.0
◎韓ドラ顔負け 家政婦は見たカメラ小僧危機一髪

1955年 89分 モノクロ 東宝 スタンダード
*面白過ぎて画質や音声の状態まで気が回らず

いやいや、これ、めっちゃ面白いですよ。

日高繁明(1916-没年不明)って衣笠貞之助に師事して松竹から東宝に移籍、本作で正式デビューしたお人の初監督作なんすが、とにかく短いのに超面白い日常派クライムサスペンスなんざんす。
一応、Wikipedia に日高さん、立項はされてますが、没年未詳って、あぁた。
これだけ面白くてネットレビューでは皆さん誉めてる本作も、Wikiに立項されずなんざんす。

世の中に、埋もれた監督の隠れた名作って、あるもんざんすネェ。

【以下ネタバレ注意⚠️】





Wikiがなくても、諸先輩方のレビューに、ストーリーは詳しく紹介されてますんで、もうひと推し薦めておきますが、
◯ドンデンに次ぐドンデン、ラストまで飽きさせない。
◯始まりは平和なホームドラマ風だが一旦ノワールなクライムが回転し出すと、常に予想した最悪の展開が待ち受ける。
◯クライムな悪いお方は相手が女子どもだろうと全く容赦しない。
◯正義の味方もそれなりに頑張るが案の定なヘマをやらかすポンコツキャラも大活躍
ってな具合でして。

だから、まぁウェルメイドって言ったらウェルメイドの国からウェルメイドを広めに来たようなウェルメイドではあります。
でも、こうゆうドキドキハラハラ系のウェルメイドなエンタメって、今や韓国発の映画やドラマの専売特許みたいに思われてるぢゃないですかぁ。

でも、たぶん邦画全盛期プログラムピクチャーのワン・オブ・ゼム的な本作とかって、おそらく「火サス」、日テレの「火曜サスペンス劇場」的なテレビドラマのご先祖さまにあたるような存在だったんぢゃないかって思ったりします。知らんけど。

Wiki見ても、スタート時の「火サス」(1981-2005)も相当尖ってたそうですし。
おそらく、ってか、ほぼ確実に、日本のドラマ界って、もとからダメで、最初から韓国さまの足元にも及ばなかったんぢゃなくって、ちょっと昔は、それなりにエキサイティングなドラマを供給してくれてたんですよ、きっと。知らんけど。

まぁ、そんな感じ(ホントのところは、正直よう知らんのですが)の濃縮版的な89分を楽しめるのが本作だと思っていただいたら、たぶん言いたいことは伝わるんぢゃないかと思っちょります。

ドラマ自体もなかなかですが、キャメラの方も決して悪くない。

開幕、キャメラが左から右へと大きくパーンして、最初大きな洋館風のお屋敷を映していたかと思うと、いつの間にか小ぢんまりとした和風の国から和風を広めに来たような平屋のしもた屋の絵に変わっている。

この「いつの間にか」が味噌で、大小隣り合う二つの住宅が、何故か自由に通り抜け可能な小さな生垣だけで隔てられてるってのが伏線でもあったりしまして‥‥

うぅむ、観てない人にあんまり言いたくないなぁ、、
ネタバレ読む前に、観ちゃってネ、なんだけどなぁ、、

あっ、本作、配信も、レンタルもないってか。

あちゃー、
そーゆーことだから、韓国さまの風下に置かれたりするんぢゃあ、あ〜りませんか、

と、ふざけるのはこのくらいにして(w

とにかく興味関心を持ってくだすった御方々は、どこかお近くの名画座なり、BSなりでかかったら見逃さないようにチェックしておいてくださいネ。

そう、本レビュー冒頭で、毎度ながら、半ば以上ネタバレしちゃってます。

家政婦はミタ!の家政婦は、洋館に仕える越路吹雪女史。

この女史、ミタ!だけぢゃなくって、指示!したりもするんざんす。

カメラ小僧は、お隣さんの母子家庭の一粒だね、賢い小学生カメラマン。
暗室で現像だって、やっちゃうんだゼィ、
ってのも伏線だったり。

おまけに、このカシコ小僧、その名も賢、姓は久保くんのデビュー作。
長じて、山内賢くんと改めたイケメン俳優の少年時代の勇姿。
山内賢、『なんたって18歳!』でおぼえてるのかなぁ、『あばれはっちゃく』シリーズの先生役が有名だったようですが。

ホント名演です。カシコ少年、もとい賢少年。

進藤英太郎御大も、やっぱ久しぶりに観るってぇと、良過ぎるざんすネェ。 

何と!
贅沢なことに、志村喬御大まで、刑事役でお出ましなんざんすとは!

それと、音楽は三木鶏郎。
トリローって、ご存じざんすか?

戦後「冗談音楽」で一世を風靡した大偉人だそうざんすが、
🎵田舎のバスは、オンボロ車〜、とか、
🎵僕は特急の機関車でッ、とか、
🎵ワ・ワ・ワとワが3ッつ、とか、
🎵明るいナショナァル、とか、
🎵キリン、レモン×2、キリンレモン×2、とか、
🎵トムとジェリー、仲よくケンカしな、とか、
みぃんなトリロー御大の作曲なんだそうです。

そのトリロー先生が、あんたベートーヴェンかいな、ってツッコミ入れたくなるような、短いおんなじモティーフをジャジーにひたすら繰り返すだけのBGMが、なかなかクセになりそうであります。

ってなところで、詳しいストーリーなどは、以下の皆さまのレビューなどでご覧あれかし。

ではまた、ざんす。
(‥‥心身離脱していくトニー谷の霊が‥‥)

《参考》
*1 姿なき目撃者
1955年9月28日公開、89分、
サスペンス・ミステリー
moviewalker.jp/mv24359/

*2 日のあたらない邦画劇場
姿なき目撃者 2011年01月30日
home.f05.itscom.net/kota2/jmov/2011_01/110112.html

*3 幻想館 姿なき目撃者
www.ne.jp/asahi/gensou/kan/eigahyou42/sugatanakimokugekisya.html

*4 パンクフロイドのブログ
サスペンスあふれる佳作「姿なき目撃者」を観て
2011-10-11 20:05:25
ameblo.jp/punkflod/entry-11045031786.html

*5 日本映画1920-1960年代の備忘録
2021-02-22
姿なき目撃者  1955年 東宝
nihoneiga1920-1960.hatenablog.com/entry/2021/02/22/134921

*6 カトリック碑文谷教会
himonya-salesio.jp

《上映館公式ページ》
生誕百年 女優特集・第2弾
〈宝塚歌劇出身の2大女優〉
越路吹雪と淡島千景
2024.4.29〜6.7 シネ・ヌーヴォ
www.cinenouveau.com/sakuhin/koshijiawashima/koshijiawashima.html
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