ふじこ

ブラックブックのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

ブラックブック(2006年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ナチス占領下のオランダ、ナチスが来るまでは歌手だった女性ラヘルは裏のルートを辿って逃げ出そうとするも、乗り出したボートにナチスの船が迫り、家族全員を皆殺しにされてしまう。
名前と髪の色を変え、レジスタンスに参加。たまたま出会ったナチスの将校に近付き、本部施設で働きスパイ活動をする事に。
やがて将校に惹かれていくものの、レジスタンスの仲間は捕まり、ユダヤ人としての自分とオランダ人の仲間との軋轢、家族を撃ち殺した将校の発見。揺れ動きながらもスパイ活動を続ける…ってお話。

超面白くなさそうなジャケ絵が勿体ないくらい普通に面白かったわ。
誰が裏切り者なのかと思ったらお前か~
テンポも悪くなく、退屈なシーンもそんなにないので飽きずに観られる。

家族を目の前で全員殺されてしまってから一人逃げ延びて復讐に身を捧げるかと思いきや、憎い相手のはずのナチス将校に惹かれ、同じレジスタンス内でも人種の違いで軋轢が生まれたり、仕掛けた盗聴器がバレていたり、味方だと思っていた人は味方じゃなかったり。

特に最終盤の、ナチスと組んでお金持ちのユダヤ人お金と宝石を持って逃げるよう誘い出して殺害、私腹を肥やしていた男たちのエピソードは良かったなあ。スパイ物に別の謎要素が加わっていて最後まで飽きさせなかった。
このエピソードが戦争の中で侵略するもの、されるもの以外の悪の醜悪さ、ナチスだけが悪ではなく、何処にだって最悪な事を最悪なタイミングで考えつく人がいるのだ って人の愚かしさみたいなものを教えてくれる。
人の命を食ってまでお金が欲しいと思ったことはないけれど、自分以外の人の命の価値をゴミだとでも思っていたのかなぁ…、罪悪感なんてあったらそもそもやってないだろうし。

主人公が将校に惹かれていく描写が出てきた辺りで むむっ!となったけど、ラブロマンス映画じゃなくって良かった。
ふじこ

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