ナチスのユダヤ人狩り逃れる為に髪を染め敵の将校愛人を装いレジスタンス・スパイとなるラヘルの戦中から戦後を回想する。単なるレジスタンス復讐の物語として終わらすことなく、味方内にも敵が蔓延り敵の中にも道義心厚い人間もいる。生きるか死ぬかの極限を潜り抜けるための人間普遍の生存本能の課題を突きつけた内容で見応えある作品。家族を殺され川に飛び込み死体棺桶に紛れて脱出するラヘル、内通していたエセ支援者は棺桶に閉じ込められて川に投げ捨てられる。今、平穏に暮らす民族祖先の地イスラエルもまた戦争禍に晒される地、民族間憎悪の歴史は終わらない…。