三樹夫

ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌の三樹夫のレビュー・感想・評価

3.0
コメディで始まって最終的にヤバい不良と戦うというやってることは前作とほぼ一緒だが、城東のテルとボンタン狩りが今作の特色となる。
テルの人は歌舞伎役者か何かなのかな。「あぁ~ん」の時の顔が見得を切りまくっていたけど、基本的にハライチの岩井なんだよなぁ。言語感覚が面白過ぎて「城東は数が多いだけのチンピラの集まりだって~ほざいたなぁ~」「そのツラに穴あけて~、二度とでけえ口きけねえように~、してやるかぁ~」 「あぁ~ん」と面白過ぎる。トオルVSテルは何気に体のキレが良いアクションになっている。
この映画の見所はやたらシャバ僧言ってたり、中学生は家に帰ってこれ食ってろシリーズなど不良言語とテルが面白くて後は退屈。演技できる人が地井武男と成田三樹夫しかおらず、演技できない人のコメディって辛い。っていうか成田三樹夫これにも出てるのか。

前作で転校したはずのミポリンがしれっと戻ってきているが、出たくなかったのに説得されて嫌々出た模様。主題歌はミポリンの「JINGI・愛してもらいます」で作曲はTK。いかにも80年代TKという曲だが、フルで聴くと歌詞が結構キツいやつ。「弱い女守るのが強い男の礼儀じゃないの」の部分がう~ん…となる。昔のアイドルソングは歌詞が結構ウヘェとなるやつにブチあたるのがキツい。榊原郁恵の「ROBOT」とか、Winkの「愛が止まらない ~TURN IT INTO LOVE~」とかどんだけ男に都合のいい女性像なんだとウヘェとなる。「JINGI・愛してもらいます」は年上のイケてる女先輩からの歌だけど、中学とか高校の男子学生の間では女先輩と付き合うのはステータスが超絶高いという謎の価値観があるんだよなぁ。完全にトロフィー扱いでキモいけど。

えんぴつ拷問やボンタン狩りもそうだが、不良界隈の嫌な面が前作より増している。ヤクザ映画でいう、ファンタジーの任侠からリアルの実録路線への移行が垣間見れるというか、不良ってめっちゃ美化されるけど実際のところは碌でもないよねという目線のない不良映画は観てて心には刺さらない。他校の不良を見て逃げたりの不良の情けない姿のコメディも、笑いって冷めた俯瞰の視線だったり解体行為だし、コメディ部分も不良実録路線への萌芽ととれる。
この映画は2作目の作品だけど、タイトルに2と付けないのは前作見てなくても気軽に観れるようにというビジネス戦略としてなのかな。『仁義なき戦い』シリーズ意識とも思えるけど、『仁義なき戦い』シリーズもタイトルにナンバーを付けないのは前作見てなくても躊躇しないようにというビジネス戦略っぽいし。

ボンタン狩りが実際にあったのかをざっと調べてみたら、横行はしてなかったみたいだけどあるにはあったらしい。平成生まれからすると、人口1万ちょいの町民だったからかもしれないが、カツアゲすら都市部の繁華街に繰り出しても遭遇しなかったし、暴走族はギリいたみたいで夜にブンブン聞こえることあったけど少なかった。暴走族なんて今だとほぼ消滅してるし、そう考えると昭和の治安の悪さ半端じゃないな。少年犯罪のニュース見て「治安が悪くなっている」とか言うおっさんはちょっとぐらい調べればいいのに。年取ると昔のことを忘れていくんだろうか。
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