垂直落下式サミング

ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

5.0
「城東は数が多いだけのおぉ~、チンピラの集まりだってぇ~、ほざいたなぁ~!!そのツラに穴あけてぇ~、二度とデケー口きけねーよーにしてやるかぁ~、あ~~~~!!!?」

名言を生んだ神回っ!ほんと面白い。こちとら、進学校育ちの平成シャバ僧だったのに、まんまと80年代ヤンキーのマインドにおかされてしまっている。
まず、オープニングシークエンスがセンスMAX。トンネルの暗闇。滴る水滴。唸る野犬。響く靴音。前を歩いてきた青い学生服の三人組にまったく怯まない。コイツが我らが仲村トオルだ!
前作に続いてアクションがいい。主役から名もない役者に至るまで、身体能力には目を見張るものがある。歩道橋の折り返しのところヒョイっと飛び降りる。線の細い人も恰幅いい系の人も、飛んだり跳ねたりくらいはお手の物って感じっ。城東工業の青学ランが映える。
高校与太郎哀歌の魅力は、城東のNo.2テルがヤバイに尽きる。風貌、キャラクター、ワードセンス、恐ろしい鉛筆の使い方、相手の心を折るメンタルアタック、不良としての総合力が高すぎる!
この頃の役者さんたちは、お若いのに風貌に貫禄がある。今のHiGH&LOWとかになってくると、ネームドキャラはほぼエグザイルみたいなハンサムしかいないから、面白味が出づらい。仮面ライダーと同じで、イケメンしか不良を演じれない時代になっちゃったなぁ…。
前作の圧倒的アイドルだった中山美穂さんが、純白ワンピースにお嬢様帽子で再登場してくれて嬉しかった。ずぶ濡れセーラー服の健気さにドキドキ。スケバンな宮崎萬純も表情豊かで、しかめっ面ばっかしてた気がする前作よりも可愛らしい。
主役のふたりが呆気なくテルに負けてしまうどころか、あろうことかヤンキーの命であるボンタンを狩られ、一度はツッパリ心をも折られてしまうのが、2作目にして絶望感を増してる。
これから常連になってくるであろう新キャラたちも、めっちゃよかったんだよな!デブちん均太郎かわいかったし、時代劇ファンには馴染みの中野みゆきも若さがキュート。テルの親父が成田三樹夫なのも嬉しいっ。
と言いつつも、とかくテルなんだよな。テルの映画だ。アメトークで予習済みだったおかげで、テルの一挙手一投足がヤバ面白い。
主役を食う悪役なんて言葉があるけれど、テルは映画そのものを食い散らかしてる。コイツが出てくるだけで、次は何を言うんだろう?次は何をしでかすんだろう?とワクワクで笑みがこぼれてしまう。すっかりテルキッズですわ。
ベタなヤンキー漫画みたく、拳を交えればツッパリ同士分かりあえるのかと思ったら、そんな余地すらないガチの終わってる悪人なのがいい。刃物とか使ってくるし、さっきは助けてくれてありがとうとか言いつつ、それはそれとして刺してくるサイコっぷり。昭和の名悪役だ。誰が当時10代に見えねえって~!?ほざいたなあ~!あああ~~~~~!!!!?