モスバーガーとスプマンテでいい気持ちになって鑑賞。
これリアルタイムで見てるはずなんだけど、こんな映画だったのね。明らかに低予算なんだけど、妙に残酷で滑稽でサイケデリックなんだよね。なんといってもゴジラ飛ぶし。ヘドラもかなりキモくてよいし、あのブロブみたいのがもっと活躍したら、もっと怖くなってたはずなんだけど、まあそこはご愛嬌か。
インパクトがあったのは「かえせ!太陽を」という劇中歌。歌ってるのは『サインはV』を歌った麻里圭子で、映画にもゴーゴー喫茶の歌姫、富士宮ミキとして出演してるのだけど、その歌詞がすごい。
♪水銀 コバルト カドミウム
♪ナマリ 硫酸 オキシダン
♪シアン マンガン バナジウム
♪クロム カリウム ストロンチュウム
これガキのころに歌った記憶があるんだよね。ここからこう続くんだこの歌。
♪汚れちまった海/汚れちまった空
♪生きもの/みんな/いなくなって
♪野も/山も/黙っちまった
♪地球の上に/誰も
♪誰も/いなけりゃ
♪泣くことも出来ない
なんだか笑えるようで笑えない曲なのだけど、この歌詞の背後には、この映画のほぼ10年前に発表されたレイチェル・カーソンの『沈黙の春』(1962年)があるわけだ。
それにしても、この映画に登場する自衛隊は蝋人形みたいでシュールだ。だから秘密兵器の巨大電極板だってうまく作動させることができないのだけれど、そこのところは神風ならぬゴジラの放射能ビームがうまくとりつくろってくれることになる。
ようするに、人間は徹底的に無力なんだけど、その無力な人間の作り出した放射能から生まれた怪物がゴジラであり、それがいま、同じく人間の作り出したヘドロから生まれた怪物であるヘドラと戦っているというのが、ほとんど嘔吐を催すほどの不条理だってことを、子供の頃のぼくは、どれくらいわかっていたのだろうか。