YasujiOshiba

華麗なる対決のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

華麗なる対決(1971年製作の映画)
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U次。24-60。なぎちゃんのハピバ映画に選んだんだけど大正解。原題の「Les Pétroleuse」(レ・ペトロルーズ)って、歴史的にはパリコミューンで,火炎瓶を投げた「放火女」という意味。1871年5月のコミューンの最後の日にパリの大部分を燃やしたと非難された庶民の女たちのこと。ある意味で叛逆の罪をなすりつけられた女たちなのだけど、現在では「過激派の女闘士」とか「気性の激しい女」という意味になっているみたい。

そういう意味では、1971年あたりの女性解放のムーブメントを反映しているのだろうけど、物語の中心にあるのはアムールよ、愛なのよ。石油は探すけど、愛があれば燃やしちゃって構わない。ネイティブアメリカンや黒人執事、中国人のサボテンの針を使う針師など、今では使えないレイシスト的なキャラクターも登場するけれど、そのあたりはジャンル映画だからね、ご愛嬌だよね。

監督のクリスチャン=ジャック(Christian-Jaque, 1904年9月4日 - 1994年7月8日)は、あのジェラール・フィリップとジーナ・ロロブリージダが大活躍する『花咲ける騎士道』(1952)を取った監督さんではござんせんか。しかも主演のB.B.とC.C.が最高だわ。ちなみにクラウディア・カルディナーレ(1938年4月15日 - )はチュニジア生まれでフランス語がネイティブ。2歳年上のブリジット・バルドー(Brigitte Bardot、1934年9月28日 - )は映画界の憧れの人だったみたいね。

なぎちゃんが「キャットファイト」とか言っているけど、たしかにそういうところはあるかもしれない。そういう意味ではコンプラ的にやばいけれど、いいじゃんか、アムールがあればそれでいいわけよ。最後の白黒のV字になっての行進に、フランシス・レイの音楽がかぶされば、もうそれで大満足。

そうそう、保安官を演じたマイケル・J・ポラードは、1967年の『俺たちに明日はない』で、ボニーとクライドの仲間になる青年を演じた不良青年C・W・モスを演じてたよね。ここでは一生懸命フランス語を勉強したりして実にかわいい。なによりも死なないし。

あ、死んだ登場人物いたわ。本物のドクターの悪い方のミラーね。吹き出してきた石油に火がついての最後は、けっこう皮肉が効いていると思う。石油よりもアムールと友情が大事なのよ。「石油の女たち(Les Pétroleuse)」は、悪い奴らを燃やす女闘志たちなのよ。イエイ!
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