ヒロインはアラフィフ。知的でクール、ピアノにすべてを捧げたストイックなピアノ教師にはもう一つの顔があります。更年期障害で感情の起伏が激しく閉経しているようですが、性欲は強く、SM嗜好の妄想は高まるばかりです。そのすべての元凶は母親にありました。幼い頃からつきっきりでピアノ漬けの生活。外の世界に出ることを禁じ(おそらく処女)、今でも監視拘束を強いています。すでに共依存の関係にあり、今もベッドを共にします。若いイケメンとの出会いで積年の妄想を実行しますが、愛なき世界に喜びはなく、無惨な破局となります。演奏会の直前、男を刺すつもりのナイフで自分の胸を刺します。死ぬつもりはありません。痛みとともに会場を出ますが、キャリアは喪失ですね。とても痛ましくて不幸な女の物語です。イザベル・ユベールの憑依的な演技は見事ですが、このあとも性格の歪んだ女を演じますね。
