LEONkei

ピアニストのLEONkeiのレビュー・感想・評価

ピアニスト(2001年製作の映画)
4.5
〝どんな人間も感情が知性に勝ることはできない〟

根本的に男女の関係を強固なまでに密接に結びつける根源は、外形的(容姿や金や地位etc)なモノ全てに意味はなさない。

本能を惜しげもなく隠すことなく曝け出したなら、それは人間関係も社会も崩壊する。

その本能を抑制するのが理性で、何とか自我を押し殺し生きなければならない。

誰しも人には言えない本能的な性癖や変態的行為を、持っていたり妄想をした事があるだろう。

それは寧ろ理性を抑制しながら生きているのならば当然のことで、決して恥ずかしいことではない。

他人に理解されようがされまいが関係なく、何が正常で何が異常かなど他人が決めることではないからだ。

何故人は苦しむかと言えば、それを誰かに〝理解されたい〟と思う感情があるからだろう。

自らの痴態を恥ずかしめなく世間に曝け出すのは、単なる理性を失った動物…いや獣でしかない。

しかし抑えれば抑えるほど結局、人間は感情の溢れ出す渦に飲み込まれてしまう。

本来、人間に表も裏もない…。

人間の本能を映像化し物語としたこの作品の凄さは、興行優先主義な映画とは一線を画す。だから面白く魅力的。

ミヒャエル・ハネケ作品の中でも最上位な面白さと言える。

感情が揺さぶられるほどメチャクチャ面白いが刺激的で強烈すぎる…〝2度と観たくない〟のが自分の中のハネケ作品の最大の褒め言葉でもある。

それは人間の本質を映画にしているが故に、自分自身の隠された痴態を見透かされているようだから..★,
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