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ガーダ パレスチナの詩のeiganoTOKOのネタバレレビュー・内容・結末

ガーダ パレスチナの詩(2005年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

全く期待してなかったけど、こりゃあ傑作だわ。
しょっぱなガーダさんが、嫁に行くのやだし、昔の慣習とか知らんし、と親兄弟と喧嘩する。しかもパーティとかやりたくねえ、ドレス早く脱ぎてえ、など、イスラム圏でも当然フェミニストっているんね、と。
異常に明るくて、夫に「僕はご飯作るからいい夫だけど、ガーダは作らないから悪い妻」とまで言われてるのに(たぶん冗談めかしてるが…)「うん、私作らない。超簡単なものしか。生まれ変わっても面倒見てもらお〜」みたいなノリで、もはやパレスチナに珍しいなどの評価ではなく、まさに逸材である。
しかしパレスチナの状況がいかに日常的な戦場か、忘れさせてはくれない。
ユダヤ人が国家を作る理由はもちろんホロコーストが背景にあるけど、イギリスの二枚舌外交や、アメリカの支援などもあってイスラエルの軍事力はんぱねえし、正直これでどっちもどっちと言う人がいるのは目が節穴としか思えない。ナチスに追われたからと言って、パレスチナ人を虐殺して土地を占領する理由にはならんだろ。
オレンジ畑でうたう詩が素晴らしかった。
土地が点在して奪われて、移動も連帯も難しいのに、少年たちは、殉教を誓う手紙を書き、今日も戦車に向かって石を投げる。
そしてガーダは離散した女性たちの声をあつめて本にする、私は筆で闘うと誓う…
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