ガーダ パレスチナの詩の作品情報・感想・評価

ガーダ パレスチナの詩2005年製作の映画)

GHADA SONG OF PALESTINE

製作国:

上映時間:106分

3.9

「ガーダ パレスチナの詩」に投稿された感想・評価

Mai

Maiの感想・評価

5.0
授業で
初めてインティファーダの実際の様子を観た
無防備でほぼ効果の無いインティファーダに対して 容赦無く戦車から銃撃してくるイスラエル軍の姿は恐ろしかった
自宅から隣の家への移動さえ命取りな生活を毎日するなんて、想像を絶する
でもそんな中でも、ここで死んだら死んだでそれは神の決めたことなのだから仕方ない と言う彼らをみて 宗教を信じる者の強さを感じた
ぶぶこ

ぶぶこの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ある市民団体の主催する上映会に行き、ジャーナリストの古居みずえ監督のドキュメント映画「ガーダ パレスチナの詩」を見ました(ちなみに、書籍にもなっています)。
これは、自分の取材の通訳をしてくれた女性ガーダを、古居監督が12年の間ずっと撮ったフィルムで構成されたもので、比較的平穏な時期に結婚したガーダが、2000年の第二次インティファーダ(パレスチナ側の抵抗)を経て、一人の知的で開明的なパレスチナ女性が、自分のなしえる「戦い」とは何か、ということを考える過程を追いかけたもの、と要約できるかと思います。

さて、まずガーダ、という希有なキャラクターに古居監督が出会った、という幸運を、観客たる我々は感謝しなければならないと思います。
ガーダは、リベラルな父親や親戚に囲まれ、比較的自由な雰囲気のもとで勉強に励み、イスラエルによるガザ地区の封鎖により大学には進学できませんでしたが、教員養成学校を出て、教師として働きつつ、堪能な英語で通訳もこなすという女性です。
そのような彼女ですから、古い因襲、とりわけ女性を抑圧する習慣には真っ向から反対し、この映画は、彼女の結婚式をめぐって家族、姑と衝突するところから始まります。彼女は伝統的な結婚式や、初夜のシーツという「処女の証拠」を見せびらかすような儀礼は「人の作ったものは変えられるはず」と拒否します。
彼女は理解ある夫に恵まれ、二人の子を授かり、大学に入り直すなど「新しい女性」としての生活するのですが、2000年の第二次インティファーダにおいて、親戚筋の13歳の男の子が射殺されるという事件に遭い、彼女は非常にショックを受けます。それまで、パレスチナ社会の内部で、古い因襲と戦ってきた彼女は、1948年(いうまでもなく、イスラエルの建国年です)に故郷を追われた自分の祖母世代の女性たちの聞き取り調査をして、パレスチナ難民の苦難の歴史を書き記すことを、「新たな自分なりの戦い(字幕では「戦い」とありましたが、使われていた単語はstruggleでした)」と位置付け、その作業に没頭していくことになります。古居監督も彼女に同行し、ガーダの祖母や、インティファーダ後に家や農地を破壊された老女たちに話を聞きに行きます。
この映画は、女性である古居監督が、ガーダの実家の台所から撮影をスタートさせたように、パレスチナのいわば私的な空間を撮ったものです。そこでの女性たちは、日本人が想像する以上にたくましく、笑い、歌い、快闊です。そして、その女たちが笑いさざめく台所の壁に向かって、イスラエルの監視塔からの威嚇斉射がおこなわれたりもするのです。その「日常」(子どもたちは、銃声くらいではびくともしなくなります。そして、その機関銃の音が響く中で、彼らは祈りを捧げます)を思うと、何もできない極東の住民である僕も、胸が痛みます。
この映画のガーダ以外の登場人物で、一番僕の印象に残ったのは、自分の農地を根こそぎイスラエル軍に破壊され奪われる夫婦(アブー・バーシムさんとウンム・バーシムさん)です。このおしどり夫婦は、互いの愛情を表現する詩を交わし合い、客人であるガーダや監督に鳥料理を振る舞ってくれるような、親切な「隣人」。そのような「普通の人」の生活の一切を破壊して、「神に約束された地」の領域を広げようとするイスラエル。もちろんイスラエル側の言い分はあるでしょう。でも、イスラエルはこれ以上、パレスチナの占領を推し進めるべきではありません。恨みの連鎖、虐殺の連鎖をどこかで止めなければなりません。いま、イスラエルは自らが作り出した「敵」の影の大きさに怯えている状態なのだと思います。
ガーダは最後に、「私が祖母たちの記録を取ることも、祖母たちが歌うことも、インティファーダで投石することも、それそれの戦い(struggle)なのだ」というような言葉を述べます。僕は、例えばこの日本において、どんな「それぞれの戦い」をしているのか、考えさせられました。
Sng

Sngの感想・評価

3.5
日本人女性監督が撮るパレスチナのガザ地区に住む女性たち…という前提から既に1歩抜きん出てる。封建的な国にあって、家族の反対を受けながらも新しい価値観で生きる23歳の女性ガーダを35歳まで10年以上にわたり追った気合い入ったドキュメンタリー。

結婚・出産し平和に暮らすことを望むも不幸なことに対イスラエルの第二次抵抗運動が始まり、街は破壊され、多くの命が失われていく。カメラはいつ巻き込まれてもおかしくないぐらいの近距離でその運動を捉えていて、驚く。すごい緊張感。

この監督、古居さんと出会ったことで、ガーダはジャーナリズムに目覚め、新たな人生を歩みだす。ステキだ!