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シンドラーのリストのharamouthのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.0
人間の底知れなさに打ちひしがれる。
覚悟はしてたけど相当精神を削られた…。

ユダヤ人1000人以上を強制収容所から救ったドイツ人にしてナチ党員、シンドラーの物語。

工場経営者のシンドラー(リーアムニーソン)と収容所長のナチス親衛隊ゲート(レイフファインズ)は善悪の対照的なキャラクターとして登場するが、シンドラーが聖人君子じゃないところがリアル。
リーアムニーソンの悪人顔が活きる悪徳ビジネスマン、戦争を金儲けの好機ととらえ、賃金が安いユダヤ人を労働力として酷使している(はて、現代でも聞いたことあるよな話だな…)。

シンドラーとゲートはイデオロギー的には敵対する者同士だが、最後まで友人のような穏やかな会話をする。

善悪とは、水と油のように弾き合うものではなく、グラデーションになっていて線引きなど出来ないものなのだと。
ふと気を抜くと無意識のうちに悪の道に足をつっこみかねない。不断の努力で善に向かって歩まなければ。
「もっと努力できたのに!もっとたくさんの人を救えたのにしなかった!」
ラストシーンのシンドラーの叫びは観客への糾弾とも。

歴史から学ぶためにも、我が身を省みるためにも、観続けられるべき作品。


実際は糖尿病みの巨漢だったというアーモン・ゲート、むりやり太ったであろうレイフファインズの太鼓腹がなんともイヤ〜な感じ出てた。グレーな善(シンドラー)に対して、こちらは純粋な悪意としてのヒール、名演っす…。
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