このレビューはネタバレを含みます
2022/01/22
DISC1
“1939年 ドイツ軍は2週間でポーランドを制した”“ユダヤ人には移動命令が下り国内の1万人以上のユダヤ人がクラクフに運ばれた”
・ユダヤ人の評価:“ユダヤ人は星印を付けよ”という条例が下ると同時に星印を作って儲ける(乗馬クラブの会員マークと間違えているらしい)、“嵐が来たら頭を低く垂れ 通り過ぎるのを待つ”(今度の嵐はSSだから別格)
・人の輪の中心になれるカリスマ性
“ユダヤ人評議会”…“選出された24人のユダヤ人がドイツ政府の命令に従って強制労働の犯分け 食料や住居の割り当て 苦情相談を受ける”(私財の没収 命令は毎日変わる 星印の腕章を外せば射殺
・元・食器製造会社の経理士を呼び出し、戦時下で一儲け(軍用の飯ごう等を製造し軍の注文を取る)を提案(資金不足は商売に関わることを禁じられていたユダヤ人の業界のコネに頼る)…時代の流れ(金より物が幅を利かす)を俯瞰して先を読む
“1941年3月20日 全ユダヤ人はユダヤ人居住地域へ”“クラクフに集められた彼らはヴィスワ川の南岸 壁に囲まれた0.24平方キロの狭い地区へ押し込まれた”
・SSについて“酷い連中だが金になる”…金に魂を売ってはいけない→“その帽子似合わないわ 道化師みたい”…まさにそれ 金に踊らされてるだけの道化師
・自分たちが置かれている状況もわからず金に執着する人間の愚かさ
・SSの決めたユダヤ人の日給:男性7マルク 女性5マルク(SSの経済局が取り立てユダヤ人の手には渡らない)→給料が安いユダヤ人を雇う
・戦争に役立つ特殊技能がなければ収容所行き…人間機械論的、音楽家は“マズイ”、歴史と文学の教師も“役に立たない”と判断される…芸術を解さない動物的な感覚
・労働証明書は年配の人のものはクシャクシャにして噛んでコーヒー?こぼして古さを偽装
・若くて拙いタイプライター女性>咥えタバコの年配ベテランタイプライター女性…態度の落差
・“DEF(ドイツほうろう容器工場)”
・紅茶/コーヒー/パテ/ソーセージ/チーズ/ベルーガ・キャビア/ドイツ煙草/新鮮な果物(オレンジ レモン パイナップル)/最高級のキューバ煙草/ビター・チョコレート(ワインの利き酒に必要)/コニャックは“ヘネシー”/シャンパンは“ドン・ネリニョン”/“レスパドン”のサーディン/ナイロンのストッキング
・“おやじは“人生3人が必要だ”と”…“名医 慈悲ある神父 賢い経理士”
・今まで欠けていたもの=戦争
・戦争を金儲けの道具と考える人に対して 純粋に雇ってもらえて命を救われたと毎日お礼しようと尋ねる機械工
・将校:工場の仕事などどうでもよく 雪かきの方が国に必要な仕事だと思ってる(ユダヤ人に雪かきをさせるのは1つの儀式)→雪かきの効率の悪い身障者は射殺
・SS予算局幹部“ユダヤ人の技能労働者に頼るような生産態勢は国への反逆だ”
・ユダヤ人の私財を駅に残させ、ユダヤ人が回収・分別し、ユダヤ人が鑑定する(歯を含む)
クラクフのユダヤ人居住地 ‘42年の冬(凍えそうなくらい寒い)
・一文なしで12人の他人と同居生活/壁の中の暮らし/規則ずくめ/“もう下には落ちないわ どん底ですもの”
・ゲットーA地区:市の従業員 軍の雇用者 B地区:余剰労働者に 老人 病人
・プワシュフの強制収容所:3万人を収容、男女別棟
・ユダヤ寺院は厩舎に
・以前に誰かに仕えた経験のあるメイドはその時の癖があるため面倒なので未経験者をメイドとして雇う
・基礎の造りが違ってる(バラックの南側が陥没しやがて全体が潰れる恐れ有り)とセメント工事のやり直しを求めるユダヤ人女性(ミラノ大学工科卒の専門家、工事主任)→射殺→でも基礎からやり直せとの指示
・“今から600年前ユダヤ人は黒死病の咎を負った ポーランド王は“クラクフの町がユダヤ人を受け入れる”と言い彼らは来た 家財を荷車に積んでこの町にやって来て住み着き成功した 商業でも学問でも教育でも芸術でも 無一文でやって来た無一文だ なのに富を得た 以来6世紀この町でユダヤ人は栄えた それを考えろ だが今日その6世紀は噂にすぎなくなる 消滅する 歴史的な日だ”
1943年3月13日 ゲットーの解体
・壁に隠しておいた宝石を食べ物に埋め込み飲み込む
・病院では劇薬を患者に投与(患者が苦んで死ぬことがないよう医師の配慮)
・同じ民族でも危機的状況においては非情…スペースに空きがあっても床下シェルターに入れない(しかし純粋な子供たちの情の深さ)
・SS流敬礼&咄嗟の機転(道路を片付けるよう指示を受けたとの嘘)により危機回避
・白黒映画における赤いコートの少女
・隠れ場所:床下、ピアノの中(脱出時の音が難)、タンスの中、ベッド下(テープで貼り付け状態)vs聴診器的なのを使ってまで隠れている者を見つけ出そうとするSS(どこもかしこも撃ちまくりの数うちゃ当たる戦法)
・惨殺現場でのモーツァルトのピアノ伴奏
・働いていないと見える労働者はすぐ射殺
・ユダヤ人地区の解体により工場の従業員が収容所に移送されたことに対する抗議
・会合に遅れて“お先に”との嫌味に“遅れて何か損を?”という返しいい
・頭が痒いフリをするとシラミだと思ってSSは近づかない
・SS将校の妻子や経済局幹部、警察署長へもの誕生日にはプレゼント/鼻薬=“報酬”、SS関係者への謝礼=“慈善活動への献金”、闇屋との取引=“仕入れ”として帳簿に記入
・所長殿自ら工場を見廻り生産効率の悪い作業員と見做せば機械の故障が理由でも処刑しようとする(本当の実力は蝶番を1分で作れる) 銃の調子が悪く発砲できなければ銃で殴る
・ニワトリを盗んだ者が名乗り出なければ見せしめに適当な者を射殺→賢い少年の機転(射殺された者を盗んだ者と申告し被害を広げない)good job
・“DEF”=“誰も死なない天国”、シンドラー=“善い方”…利益追順者にとって良心の呵責?求めて来た者を怒りながら追い出すのもそんな自分への自己嫌悪の現れ?→結局自分の腕時計を差し出して来訪者の依頼を叶えてあげる
・プワシュフ収容所の現状…老人が次々殺され森に埋められている、収容所の外で作業中に逃亡者がいると全員を並ばせて順々に各列1人おきに銃殺(25人の犠牲者)
・お金は一文もなく服は借り物 偽造身分証暮らし
・“人は皆いずれ死ぬんだ ゲートが奴らを殺すからっておれが引き取るのか?“シンドラーの所へ送り込め!あそこは工場じゃない天国だ!儲けなど考えてない 坊さん子供役立たず誰でも引き受けてくれる”君のせいだぞ 次から次へ押しつけて”…八つ当たりも自己嫌悪の現れ?自らに及ぶ危険への焦り?
・“戦争は常に人間の最悪の部分を引き出す”
・何も悪いことしてなくても言い訳しないといけなくなるくらい卑屈になってしまうほどの恐怖で人間を締め付ける酷さ
・屋敷のユダヤ人メイド:初日からディナーの骨を捨てたとして殴られる(骨は犬にやるはずだったらしいが…)/“なぜ私を殴るのですか?”と尋ねると“殴るのはなぜ殴るのかと尋ねたからだ”…最低の禅問答/辛くても黙って受け入れるのは、どうせ射殺されると分かっているから/根拠:拳銃でなんの非もない(太っても痩せてもなく歩き方も普通で何が気に障ったのかもわからないような)女性を射殺→所長殿のやることには何もルールがない “こうしていれば安全”ということがない
・上物の酒を贈っても悪い酒ばかりを飲む所長殿
・“自制心は心 パワーだ”/ユダヤ人は“我々の“殺す力”を恐れてるのさ”→“そう “理由なく殺す力”をね”…“犯罪者を死刑に処すと気分がスッキリする 自分で殺せば更に気分がいい それは“力(パワー)”じゃない それは“正義”で“力”とは別のものだ”“力(パワー)とは人を殺す正当な理由がある時に殺さない事だ”
・皇帝(“慈悲深い王 アーモン”)の話…“盗っ人が引き出されて皇帝の前にひれ伏し命乞いをする 殺されると知っててね だが皇帝は彼を許す その虫ケラを放免する”“それが力(パワー)だ”“それが本当の力(パワー)だ”→所長殿、許しを学ぶ?(鞍をダメにした男の子、タバコを吸っていた女、バスタブの汚れを落とせなかった男の子)
・ユダヤ人メイドに恋した所長殿、褒めちぎったりフォローしたり貶したりしてアプローチするも恋心叶わず結局暴力振るう最低さ…アプローチするも震えるメイドに対し“けがれたユダヤ女 誘惑する気か?”
・毒ガスで殺されるとの噂話を聞いても、デタラメだとして信じず自分たちは労働力だから殺されないと主張(そう言い聞かせて悲惨な現状を否定したい気持ちの現れ?)
・ハンガリーから新しい荷が送られてるため“病人を始末しないと場所がない”→裸で走らせ“働けるか働けないかで選別”
・自らの血をチークや口紅のかわりにして血色をよく見せようとする工夫
・何も知らずにトラックに乗せられて大人たちに手を振る子供たち(賢い子供はトラックに乗らずに隠れる)、全てを知っていて阿鼻叫喚の大人たち
・水を求めるユダヤ人たちの前で無情にも流れ出る水道管の水、くつろぐSS達→酷いやり方とも見えるような方法で少しでもユダヤ人を助けようとする行動
・昔からある特定の人種に対する嫌悪を政策化してしまう酷さ
DISC2
“1944年4月 フヨヴァ・グルカの丘 プワシュフ収容所とゲットーで殺された犠牲者1万人余の死体に焼却命令が出た”
・ユダヤ人の死体の焼却命令をユダヤ人に実行させる/“仕事を増やしやがって 死体を全部掘り起こすんだぞ”…人を人とも思わぬ発言/閉鎖→全員アウシュヴィッツ送り
・白黒映画にて唯一のカラーであった例の赤いコートの少女も死体として荷車で運ばれる
・“特別待遇”…恐ろしい意味がある→“優先待遇”…“新語が必要だ”
・望み通り使いきれないほどの金を貯めたから故郷に帰る?
・“いつの日かこの戦争も終わる その時君と1杯飲もうと…”→“今飲みましょう”…それまで頑として酒を飲まなかった経理士にフラグ?
・→使いきれないほどの金をユダヤ人救済のため使い果たそうとする、かつ出資者を募る(差し当たり食費と衣服費は負担せねばならないが儲かるが自分たちの手で4000人を救い出し安全な所へ移せると主張)
・“煙の半分は私が吸ってます”…全ての非喫煙者に謝罪したい
・経理士に金がかかり過ぎると指摘されることを避けるため、自分が出資したことは隠して業務を遂行させる
・“これは“善のリスト”です 生命のリストです この紙の外は死の淵です”
・“善のリスト”の最後は例のメイド→所長殿は一生自分のメイドとして面倒を見ると主張し反対…“正気か?”←ほんとそれ
・“それ(ウィーンに連れて行って自分のメイドをさせること)ができないならせめて最後の慈悲で苦痛がないよう背後から頭を撃つ”…ヤンデレか?→しかし無事にメイドも“善のリスト”入り(経理士も)
・氷柱で飲み水
チェコ ブリンリッツの町 シンドラーの生まれ故郷
・“私は奴らをうまく働かせます 私が監督する収容所はいずれも生産性が高い 囚人にはつらい所ですがね”…人を人とも思わぬ発言
・“いつかまたシチューを作るわ”→アウシュヴィッツ…酷い間違いすぎる→髪を刈られて服を脱がされ“浴場 殺菌室”へ…(殺されるかと思いきやセーフ?)
・雪降る夜空の中で高く登る煙突からの煙…
・“高圧電流の柵に身を投げる方が楽かもね”→“やめなさい これから先の運命を知りたくないの?”
・賄賂の宝石(“持ち歩ける資産が今にきっと必要になります”)に対し“受け取るとは言わん 机に載ってると気になる”
・“セクションW” =理由なく作業員を殺してはならない(そういう死に対しては企業補償条例に従い賠償を求める)→理由なく殺せばSSは軍刑務所行き…勝手な処刑をさせず 生産を妨げる干渉も許さないことを徹底、SSが許可なく工場内に入ることを禁ずる(“感謝のしるし”も忘れない)
・自社製品の戦車砲もロケット砲もすべて規格テストに不合格→“よその製品を買ってごまかす”…“そうすりゃ戦争で使われる砲弾も減る”
・金曜には安息日を与える
(“操業開始から7か月で工場は生産量ゼロ 食費と役人への賄賂に数百万マルクが消えた”)
・“自らに感謝しろ”“彼(経理士)に感謝を 死の前で勇気を見せた仲間に感謝を”
・ナチ党員/弾薬製造業者/強制労役で利益を得た→犯罪人で追われる身に(本当は人助けをした身であっても)…皮肉
・“零時5分まで君らと共にいてその後逃亡する事を許してもらいたい”
・収容所の囚人を全員処刑せよと命令されているSSに対し“やるなら今だ 全員そろってる”“立ち去ってもいい 殺人者でなく人間として家族の元へ”→皆立ち去る
・ドイツの無条件降伏による終戦の際のユダヤ人従業員と工場に招き入れた兵士の前でのスピーチすごい
・救った人々に対して平和が訪れた後の生活まで配慮する(布、ウォッカ、タバコの分配)
・逮捕された際にと差し出された 救われた人たち全員(1100人)の署名、ユダヤの聖書(タルムード)の言葉が刻まれた自主制作の指輪(“1つの生命を救う者が世界を救える”)
・自分が持っている物でもっと救えたと悔やむ姿…全ての金至上主義者に見せてやりたい
・解放されても行く場所がない…
“アーモン・ゲートは逮捕され人道に背く罪を犯したとしてクラクフで絞首刑に処せられた”
“オスカー・シンドラーは戦後結婚にも事業にも失敗 1958年エルサレムに招かれ“正義の人”に選ばれてユダヤ人虐殺(ホロコースト)記念館の前の“正義の通り”に植樹を行った その木は今日も成長を続けている”
“シンドラーに救われ今も健全なユダヤの人々”が横一列に並んで歩く姿→出演者と共にシンドラーの墓に参る御本人たち
“今日ポーランドに住んでいるユダヤ人は4000人弱 “シンドラーのユダヤ人”の子孫は6000人以上を数える”…経理士の“彼らから新しい世代が育ちます”の言葉通りになる
“この映画を虐殺された600万人余のユダヤ人に捧げる”