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シンドラーのリストのmarmoのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.1
アウシュヴィッツ行く2日前に

シンドラーが救出に動き出すまでの冒頭2時間が本当に辛かった。途中休憩挟みながらじゃないと無理だった。けれどその陰惨さをまっすぐ描くところがこの作品の凄味だし、役割だと思う。

「1100人救えたからOK!」みたいなオチならその場で観るのをやめてやろうと思っていたけれど、シンドラーは一人一人の重みを痛いくらい感じていたのが本当によかったな。ペルシャン・レッスンにも通じるけど、アウシュヴィッツに送られてしまった人たちもリストの外の人たちも含めて、”ユダヤ人”で括れない個人なんだよね。

現代ポーランドで「ホロコーストの責任はすべてドイツにあって、ポーランドは被害者」って主張の派閥があるらしいけど、収容所のシャワー室前で女性たちに指示をしてたのはポーランド語話者だった。もう、あの時代はナチスの誰かひとりが悪いとかそういう範囲を完全に逸脱してしまってたんだと思う。(ヒトラーや高官が上にいた事は勿論承知の上だけど)
その点、ヒトラーを登場させずあの当時のジェノサイドを時代を覆う大きな現象、怪物のように描いたところも特筆すべき真摯さだった。
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