これは
【泣いてはいけない映画】だと思った。
『シンドラーのリスト』は公開当初ずいぶん話題になったから映画のあらすじは頭にあったし、
そもそもアウシュビッツ、ホロコーストが
どんな惨状だったかという史実は
当然認知している出来事だ。
だから、いまさら
彼らが銃殺されたりガス室に送られるシーンごとにショックを受け、わぁひどい!と目を背け、涙を流すというような単純な感想ではない。
私は3時間、常に不安と恐怖がまとわりつき、心臓の鼓動は小さく早まったまま、口をギュッと固く結んで映画に釘付けになっていた。
一見するとモノクロ映画のようなたてつけだけど、完全なるモノクロ(はっきりとした黒と白の世界)の画面と、極限まで彩度をおとしたセピア色の画面とがシーンごとに入り混じっていて、グラデーションのついたこの不安定な色彩構成が、終始不安をあおった。
ろうそくの炎、少女の服、キーカラーとして『赤』を意識的に認知させたのも、観ているこちらの心をざわつかせるのに充分すぎるほど機能していた。
虐殺に走った司令官も、平時であれば酒呑みの女好きの気のいい男だったのかもしれない。
戦争は、善人と悪人が戦うという構図ではないのだろう。
立場とポジション、そしてシステムが、人間を残虐に変えていき、銃の引き金をひく指を動かさせる。
、、と、ここまで書いて、下書きに入れたままずっと放置してしまっていた。
今更ながらのレビューの続きはもう書けない。
非常に重たい映画ゆえに、これは泣かずに見るべきものと思った。