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シンドラーのリストのyayuyoのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
5.0
金と酒と女。
はっきり言うとオスカー・シンドラーは欲にまみれた男だ。
経営する工場でユダヤ人を雇うのも、ポーランド人より賃金が安いから。
彼に聖人君子のようなイメージを持っていると最初はそのギャップに戸惑ってしまう。
そんな時目撃した、ゲットーでのユダヤ人大量虐殺。彼の心が動く印象的なシーンだ。
目を背けたくなるシーンもあるが、これがほんの数十年前の出来事なのだという事にゾッとする。
戦争というものはこうも人を変え、正常な判断をできなくするものなのか。
作中でも少し触れられたように、ユダヤ人を虫ケラの様に殺しているドイツ兵だって本当は普通の人間だったはずなのだ、戦争中でなければ。
戦争が終結し、シンドラーの口から出たのはユダヤ人を救ったという充足感ではなく、
もっと救えたのではないかという自責の念。
完璧な人格者ではなかった彼の人間らしい良心が心に響く。

3時間越えの内容だが、スピルバーグの手腕と史実に基づくストーリーという重みが時間を忘れさせる傑作。
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