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ピープルvsジョージ・ルーカスのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.2
ある者には尊敬される一方、ある者には悪魔視されてしまうジョージ・ルーカス。彼は間違いなく、映画史上、最も情熱的な議論の的となり、数多くの中傷に晒された映画監督の一人だ。しかし、「スター・ウォーズ」のファンは、なぜそこまで、スペシャルエディションのリリースを非難し、新3部作には背を向けてしまったのか。ユーチューブ世代に捧げられたファン参加型の本作は、「スター・ウォーズ」の神秘性を語る上で不可欠となっている数々の議論を調べ上げ、ジョージ・ルーカスの残した文化的遺産をファンの目を通して紐解くユニークなドキュメンタリー作品である。映画史上最も人気のあるシリーズ作品を巡り、従来のシステムに果敢に戦いを挑み、映画業界に革命をもたらし、文化的論争を巻き起こした、マスメディア史上最も権威と影響力を持つ映画制作者について疑問を投げかけていく。撮影期間は約3年、3つの大陸にまたがり、総移動距離10万キロ以上、126回ものインタビューに加え、ブラジル、ポーランド、ドイツ、スペイン、カナダ、メキシコ、オーストラリア、スウェーデン、フランス、日本、南極など、世界各地のファンから、634時間分の膨大な素材が届けられた。総データ量は14テラバイト。編集作業は数ヵ月にも及ぶものとなり、数千通のEメールと3通の殺害予告の後に本作は完成した……。
「スターウォーズ」シリーズは、たくさんのファンに愛され、関連グッズは多数発売され、たくさんのマニアックなファンと議論を生んだ。このドキュメンタリー映画は、「スターウォーズ」シリーズの生みの生みの親ジョージ・ルーカスと「スターウォーズ」を愛するファンの愛憎の歴史を紐解いたものである。
ジョージ・ルーカスは愛されている監督だが、憎まれている監督でもある。
ルーカスが最初に「スターウォーズ」ファンの逆鱗に触れたのは、「スターウォーズ特別編」を公開した時だ。予算が少ない中で試行錯誤した特撮部分をCGIに変えたのは特撮部分を担当したスタッフに失礼じゃないか、ハンソロがジャバに雇われた賞金稼ぎを撃ち殺すシーンをマイルドな内容に変えたのはキャラクターの性格や世界観をブレが生じる行為だなど、非難が巻き起こった。「スターウォーズ」のエピソード4を映像ソフト化しないことやグッズを売るためのフランチャイズ化、決定的だったのは何年かぶりに制作された「スターウォーズ」プリクエル3部作が旧3部作を愛するファンから嫌われたことだった。このことから、「ファントム・メナス」を自己流に編集したファン映像など、二次制作映像が多数作られ、それが「スターウォーズ」人気に拍車を掛けた。「スターウォーズ」のおかげでルーカスは自分のクリエイティビリティを守るために自分の映画制作会社を作ることが出来たらけど、「スターウォーズ」以降のルーカスは企業の社長になってしまったと非難するファンもいる。ルーカスに対しての不満の原因は、旧3部作を愛し過ぎていること。プリクエル3部作で、フォースの根源をミディクロリアンとしてフォースの神秘性を台無しにしたり、ファンが「スターウォーズ」に求めていることをないがしろにしているとルーカスが誤解されるのが原因。こうした監督と熱狂的なファンの関係は古今東西あるのだなと、ファンの目線から楽しめるドキュメンタリー映画です。
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