クライマックスでは英国市民3000人を毒ガス散布で瞬時に殺害し「次は1万人殺す」と脅迫する。白人による世界秩序を転覆し、東洋人の自らによる世界支配を目指すという誇大妄想的なスーパー・ヴィラン像は、アメコミ映画の悪役の元祖と言えるもの。ラストに響くフー・マンチューの声"The world shall hear from me again(世界は私を再び知るだろう"は、MCUシリーズのポストクレジットパターンとして引用されている。
※フー・マンチュウ(Fu Manchu)の名の由来は、満州国皇帝だった溥儀の溥(Fu)と満州(Manchu)を組み合わせたもの。1912年の清朝の滅亡に伴い退位した少年皇帝・溥儀の名は世界的に報じられていた。英小説家サックス・ローマーはこれを命名に取り入れ、翌年に『フー・マンチュー博士の謎(The Mystery of Dr. Fu-Manchu)』(1913)を出版した。当時のイギリスでは、清朝が滅亡したことで行き場を失った東洋の支配者層や暗黒街の組織が西洋を侵食するのではないかという“黄禍論”が広がっていた。