よつ

おとなのけんかのよつのレビュー・感想・評価

おとなのけんか(2011年製作の映画)
4.2
子供同士の喧嘩の和解のため、一堂に会した被害者と加害者双方の両親。
「子供のやったことですから…」と冷静で知的な“大人の対応”に徹する四人だが、次第に確執が生まれ、それぞれの夫婦の問題も露呈してカオスな状況になっていく。
建前がだんだん崩壊して本音が飛び出してくる展開にワクワクする。

場面をアパートメントの一室のみに縛ったワンシチュエーション会話劇にもかかわらず、全く飽きさせない脚本と圧巻の演技。
ジョディ・フォスターとクリストフ・ヴァルツの対決目当てで観たけど、あとの二人の演技も本当に素晴らしかった!
四人ともそれぞれ自分が一番マトモだと確信していそうなのがまた笑える。




(以下箇条書きのメモ。ネタバレ含みます)

・最初は敵対する立場だった両家の親たちが、お互いのパートナーへの愚痴を共有するうちに男女の対立構図に変わっていくのが笑える。喧嘩のチーム分けは同姓から同性へ。
・被害者父が比較的穏当な人物だと思いきや、ハムスター置き去り事件で一気に信頼度が底辺に。「この件絶対後で蒸し返されるだろうなぁ…」と思った。
・被害者母は自らの良識や正義を他人に押し付けすぎ。善人であろうとするのは良いことだが、それを周囲にも求めるせいで軋轢が生まれる。加害者父がトラブルメイカーに見えて、ほとんどの揉め事の火付け役は彼女のほうだと思う。
・ウイスキーを取り上げられるジョディ・フォスター可愛い。夫をポカポカ殴ってるジョディ・フォスター可愛い。咽び泣いてるジョディ・フォスター可愛い。
・オチも秀逸。人格否定の原因となったハムスターはピンピンしてるし、子供同士はとっくに仲直りして一緒に遊んでる。親同士も最後には和解するかと思ってたけど、プライドや面子に固執した大人のほうが関係修復が困難ということなのだろう。
よつ

よつ