剣々

ひとごろしの剣々のレビュー・感想・評価

ひとごろし(1976年製作の映画)
3.2
なけなしの勇気で果たせ上位討ち!

双子六兵衛は福井藩きっての臆病者で知られていた
妹にも兄が臆病者のせいで結婚相手も寄りつかないとボヤかれる始末…
そんな時福井藩で事件が起きる…武芸指南役の仁藤昂軒が若い藩士や中級職の藩士・加納を切り捨て藩を離れたのである
激怒した藩主は上位討ちを命じるが、名乗りを上げたのはなんと六兵衛だった!?

臆病者が妹のため自分のため汚名を返上しようと奮起する作品
六兵衛を演じるのは松田優作!
ブラックレインしか演技を観たことがなかったのですが、臆病者で少しコミカルな演技も凄かったです
丹波哲郎演じる昂軒も傲慢なところもあれど武士って感じで貫禄たっぷりですね

そして肝心の上位討ち!
臆病で武芸に秀でるわけでもない六兵衛が、どのように達人である昂軒に挑むのかここが作品のキモですよね
まともに戦ったら直ぐに返り討ちですからね

なんとその方法が事あるごとに「ひとごろし!」と叫ぶこと!?
茶屋で街中で宿屋で昂軒に向かってあの侍は人殺しだー危険だぞーと叫ぶ
そうすると町人たちは逃げ惑い、昂軒は食事や休むどころじゃなくなり、それを繰り返すことで疲弊させるというまさかの心理戦!!
自分と同じ臆病な弱き者を仲間につけるとは…中々切れ者なのかもしれません

そんなことの繰り返しな訳ですが、落とし所も良い感じだったと思います
ただラストの描き方が急過ぎて……
ちゃんと最後まで描き切ってくれたらもうちょっと気持ちよく終われて満足感もあったと思うんですけどね
そこだけ残念でした

機転を効かせた上位討ちを描く作品でした



【雑記】
福井藩から始まる時代劇があるとは知らなかったです
越前国生まれとして観らずにはいられませんでしたよ笑
今じゃ福井ってどこ?って人も多いと思いますが、時代が時代なら京の都に近かったり、松平家が治めていたり割と栄えていた場所なんですよ
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