ジョルジュ・アルノーの同名小説を映画化したサスペンスで、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の代表作。
カンヌ国際映画祭グランプリと男優賞(シャルル・ヴァネル)、ベルリン国際映画祭金熊賞受賞 。
原題:Le Salaire de la peur (1953)
南米ベネズエラ。外国から食い詰めてやって来た、職の無い浮浪者のふきだまりの町。
500km先の油田で火事が発生。アメリカの石油会社は火を消し止めるため、パイプライン爆破用にニトログリセリンを遠く離れた山道の現場までトラックで運ぶことに決める。
トラックには安全装置が無いため、少しの振動でも爆発するニトログリセリンをしかも大量(1トン)に運ぶのは命がけである。
そこで会社は街の食い詰め者たちに2000ドルの報酬を与え運ばせることにする。
選ばれたのは、マリオ(イヴ・モンタン)、ジョー(シャルル・ヴァネル)、ルイージ(フォルコ・ルリ)、ビンバ(ペーター・ファン・アイク)の4人。
4人は2台のトラックに分かれ、目的地に向かう…。
~他の登場人物~
・酒場の看板娘リンダ(ヴェラ・クルーゾー)
・浮浪者エルナンデス(ダリオ・モレノ)
・石油会社のビル・オブライエン(ウィリアム・タッブス)
~障害物~
・20マイルに及ぶ"なまこ板"(洗濯板のような悪路)
・山道の曲がり切れない急カーブと、そこに架かる朽ちかけた釣り橋
・道をふさぐ大きな岩
・送油管が破れてできた原油溜まり
「何もしないで2000ドルか。
この2000ドルは運転の報酬だけじゃない。恐怖に対する報酬でもあるんだ」
「あの塀の中には、何があったんだっけ。
…
Rien(何もない?)…Rien(そうだ、何もなかったんだ)」
"パリの地下鉄の切符"
サスペンスの面白さに加え、危険な仕事を請け負った4人の男たちの実存(エゴ、本質)に迫った人間描写が見どころ。
イヴ・モンタンの出世作だが、実は気弱でぶざまな老醜をさらすシャルル・ヴァネルがいい味を出している。
胸や体のラインがきれいな監督の奥さん、小柄なヴェラ・クルーゾーは、不幸にも46歳の若さで亡くなりました。